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トモダチ1<×洸>
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「美雪が、お前が電話に出ないって泣いてたぞ。セフレ全部切ったって、マジだったの?」
日曜日の午後三時。
ケーキを突きながらお喋りに花を咲かせている女性達の笑い声をBGMに、お気に入りのマルボロメンソールの煙を肺へと吸い込んでから、三好健太(みよしけんた)は目の前でアイスコーヒーを飲む男へと視線を向けた。
ストローから唇を離し、洸も健太へ視線を返す。
洸はそうだけど、とだけ返すと再びストローに口付けて冷たいコーヒーを美味そうに啜った。
「何、どういう心境の変化?お前美雪のこと気に入ってたじゃん」
「別に?俺も20代後半にもなったし、そろそろ落ち着こうと思っただけだよ」
「……嘘つけ」
煙草を灰皿に押し付けて、注文していたコーラを一気に半分程飲んだ。
健太と洸は高校生からの付き合いだ。
2年の時に同じクラスになったのをきっかけに、意気投合して仲良くなった。
健太は、185㎝を超える長身とガタイの良い体つきで、それを活かしバスケ部で活躍していた。
一見すると強面だが、男らしい濃いめの顔立ちは整っており、笑うと目尻が下がって優しげな表情になるところもとても人気で、同校だけでなく他校にもファンクラブがあるほどだった。
洸も、その当時からとてもよくモテていたし、その都度「本命」とやらもいたが、その裏でセフレが何人もいたのを健太だけは知っていた。
いつだってそれが洸の「普通」だった、はずだ。
それなのに、セフレを切った、との言葉に健太は耳を疑った。
最初は全く信じてなどいなかったが、「洸が電話に出ない」と何人もの女達から泣き付かれて、それがようやく真実なのだと知ったのだ。
「…同棲してる同期とやらにマジなわけ?」
洸は答えない。
その代わりに、その唇が弧を描く。
それは肯定の印だと、健太は知っていた。
再び煙草を取り出し、 それを咥える。
ライターで火を点け、ゆらりと揺れる紫煙を吐き出しながら、健太は、8年前のことを思い返していた。
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