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俺の大切なーー
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ガチャッ
「ただいまー!クロー?起きてるかー?」
夕方の少し風が冷たくなった頃、真昼は家の扉を開けて帰宅した。
「おー…。」
怠惰な黒猫は寝転びながら、気怠げに返事を返した。
真昼は夕飯の買い物をキッチンに運びながらクロに言った。
「クロ、なんか顔色悪くねぇ?大丈夫か?」
クロは少しギクリとしたが、表面上全く反応せずに、
「そうか?…そんな事より真昼、コーラくれコーラ。」
「そんな事って、自分で入れろ‼︎ったく…。」
気のせいか、と真昼はまたキッチンに向かう。
誤魔化すのだけ得意になった可哀想な黒猫は、ソファで重くなった体を丸めながらゆっくりゆっくり息を吐いた。
……
「おーい、クロ?ご飯、出来たぞ…?」
ま、
真昼、か?
視界がボヤけるな…。
「寝ちゃってたのか?」
クスクスと笑う真昼。
ソファに片方だけ頬をついて、俺の横に顔を並べている。
よく見えない…。
もっと、真昼の近くに…。
グイッ‼︎
「うわぁっ‼︎…クロッ⁉︎」
真昼の後頭部に手をまわして、顔を近づける。
後数センチのところまで真昼の顔を引き寄せる。
あー…よく見える…。
ボヤけた視界にはっきりと映る真昼は、真っ赤になりながら慌てている。
「バカッ!クロ…近い…。」
そう言いながらも離れようとはしない。
あぁ…真昼。
「クロ?なんか、あったのか?」
「いや、なんでもねーよ…、
まひる?
俺の事、好き…か?」
「‼︎‼︎」
唐突に生まれた不安を拭い去りたい、だから俺は真昼に、真昼が一番困る類の質問を投げかける。
「好きだよ?じゃなきゃくっつきたいとか思わないし…。」
!
驚いた、多分俺は普段はこんなこと言わない真昼にビックリしたんだ。
だからその拍子に目から何かが溢れ落ちたんだろう…。
「⁉︎‼︎ックロ⁉︎やっぱりなんかあったのか⁉︎」
心配そうにさらにギリギリまで顔を近づけてくる真昼。
この"何か"を真昼のまえで零したのは多分初めてだ…。いや、正確に言えば俺の過去を見た真昼にとっては二回目だろう…。
「大丈夫だ…ビックリしただけだ。」
「そっか…よかった…。」
ホッ…と息を吐く真昼に、"涙"の止まった顔を向けて俺は囁くように言った。
「まひる。」
ん?と、顔をこっちに向けた真昼は今の状況を理解したのか、真っ赤な顔をさらに赤くして俯いた。
多分真昼のことだから、さっきサラッと自分が恥ずかしい事言ったの思い出して悶えてんだろうな…。
「真昼…俺も…
お前が…ーーー…。」
「え?何?ごめ、もう一回言って?」
聞き逃した真昼は俺のシャツの裾を引いた。
だから俺は、真昼のおデコに軽く頭突きして言ってやった。
「気が向いたらな。」
「⁉︎それ絶対向かないだろ!!」
怒りながら暴れる真昼を見て、俺は心の中で呟くように思った。
愛おしい…と。
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