アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
真祖は…
-
クロ、体調悪いのかな…。
来ないようなら、御園に事情を伝えて早く帰らせて貰おう。
御園だって早くから計画してくれていたパーティーだろうし、少しくらい出ないと悪いよな…。
有栖院家に向かう道中でそんな事を考える。
考え事をしながら下を向いていると、後ろから大きな声が聞こえてきた。
「だーかーらぁー!何でそうなるんスかー‼︎リヒたんって天然⁉︎天然なんスか⁉︎」
「うるせぇバカハイド、テメェみたいなバカに言われたくねぇんだよ。」
ギャーギャーと騒いでいるのは聞き覚えのある2つの声、これは…。
「あれー?真昼じゃないっスかー!偶然っスねー!あー…ていうか有栖院パーティーにお呼ばれされた感じっスか?」
やっぱり。
強欲の真祖、唯一無二こと"ロウレス"と、
「テメェは…怠惰の悪魔の…。」
バイオレンス天使のリヒト・ジキルランド・轟こと、"リヒト"である。
「どうも…ハイドとリヒトさんも御園にパーティーに呼ばれたんですか?」
「まあな…」
「そぉーなんスよー!リヒたんったら普段こういうパーティーのお誘いには乗らないくせに、リヒたんのピアノを聞きかせて欲しいって有栖院の当主に言われたから二つ返事でオーケーっスよー‼︎」
「うるせんだよ、このバカネズミ!」
「なるほど…」
ゲラゲラと笑うハイドに、冷たい視線を送るリヒト、いつも通りの強欲組に安心した。
「そーいえば、怠惰のにーさんはどうしたんスかー?」
ハイドは辺りをキョロキョロと見回して言った。
「クロは、なんか体調が悪いみたいでさ…、だから俺は早めに切り上げて帰るつもりなんだ。どうせアイツ来ないだろーし。」
「体調?は?何言ってんのー?真昼。俺達は吸血鬼、しかもサーヴァンプっスよー?」
「え…?」
「まあ、確かに主人の体調によって怪我が治りにくくなったり、体調崩したりはあるけど、真昼が元気そうなのに、にーさんだけ体調悪いって明らかに『異常』じゃないっスか…?」
言われてみれば、クロと出会ってから一度もクロが風邪をひいてるところを見たことがない。
そうだよ、クロは吸血鬼なんだ。
だったらなんで体調……。
バッ‼︎‼︎
「俺っ‼︎帰るなっ‼︎悪いけど御園に言っといて!!」
クロが心配だ。
最初の一歩目を踏み出そうとした時、服の裾を掴まれ止められた。
「バカかお前は。リード使え、その方が早いだろ。」
事の重大さをいち早く察知したリヒトは、真昼にそううながした。
「!!ありがとうございます!」
少し落ち着いた真昼は手首のリストバンドを外してリードを出そうとした。
「え?…。」
手首のリードのマークが軽く消えかかってチリチリと蒸発していた。
リードが出せない‼︎
それに…
「なんで…消えかかってんだ⁉︎」
ただひたすらに手首を凝視している真昼に、リヒトは舌打ちして言った。
「よく考えろ、そーとーやべーぞ。それ。」
え…と
放心している真昼をよそに、リヒトはハイドに指示を出していた。
「ハイド、コイツを抱えろ。コイツん家まで走るぞ。」
「了解ぃ‼︎‼︎」
ガシっ‼︎
「へ?」
真昼に有無を言わさずに抱えあげると、リヒトとハイドは同時に飛び上がった。
リヒトのリードはブーツ。
だから並外れた跳躍力がある。
ハイドに抱えられながら、真昼は後悔、不安の感情ばかりを延々とループさせていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 12