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ナニヲ…
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「おい!着いたぞ、おい‼︎」
「はっ‼︎クロッ‼︎‼︎」
自宅につき、急いで玄関に駆け寄った。
バンッ‼︎
鍵の開いたとびらを勢いよく開け、叫ぶ。
「クロー‼︎おい!クロッ⁉︎‼︎いないのか?!クロッ‼︎」
執拗に"名前"を呼んだ。
どこからか、向き合えねー。と出てきてくれないかと願いながら。
しかし、静まり返った部屋には、零れた水と、微かな血しか残っていなかった。
「クロ…」
その場にへたり込んだ真昼は、息が止まったかの様に動かなくなってしまった。
「真昼…。」
低く聞こえるか聞こえないかの様声でハイドが言った。
「俺は…」
放心してた真昼が焦点の合わない目で空中を見つめながら言った。
「俺は何をしてた?学校行って家事をして、クロとご飯食べて、寝て。何をしてたんだ?相棒が聞いて呆れる、体調の変化を見落とすなんて。何をしてた?
ナニヲミテタンダ?
クロ…苦しかったよな…、苦しい中気づかない俺に愛想をつかさないでいてくれたのに、俺はクロに何を、何をしてやれた?何が、何を、なんで、どうして…
こんな時に側にいてやれなくて…なんで相棒って…いえるんだ…。
俺に相棒でいる資格なんて…ない…。 」
ボタリボタリと床に大粒の涙を落としながら、真昼は深い黒い海に沈んでいく。
「おい。」
静まり返っていた部屋に、真っ直ぐなリヒトの声が響いた。
止まることなく、真昼に向かって歩き、目の前で立ち止まった。
「資格なんて必要ねぇんだよ、テメェはそんな"名前"にこだわってんのか?」
強めに問いただすリヒトは、真昼の胸ぐらを掴んで上に引っ張りあげた。
「お前が『何をしたか』なんて知らねぇ、今、『何をするか』だろうが。
今やらなきゃいけねぇことを履き違えてんじゃねぇよ。」
今…何を…
昔、リヒトさんに言われた言葉…また俺は同じ事を…繰り返してんのか…?
フラついていた足に少しずつ力を入れながら、真昼は掠れた声を響かせた。
「はい…俺が今すべき事は、泣くことじゃない…。クロを探しに行きます…‼︎」
「なら早く行け。俺たちにあの猫の居場所はわからない。主人と吸血鬼は精神が繋がってる、上手く辿れば分かる…そうだよな?ハイド。」
黙っていたハイドが口を開いた。
「そっスよ。だかは早く行け真昼、にーさんに意識があるうちに!」
2人から後押しされ、真っ直ぐな二つの視線と真昼の視線が交わった。
「うん、ありがとうハイド、リヒトさん!」
さっきまでフラついていたのが嘘のように、足が軽くなっていた。
大丈夫、見つけられる。
集中しろ
心の真ん中でクロを探すんだ‼︎
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