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笑顔
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クロ…
クロ…
クロ‼︎‼︎‼︎
どこだ⁉︎クロ‼︎‼︎
『まひ…る…
くるし…
あ…いた……い…
まひる…。』
‼︎‼︎‼︎‼︎
聞こえた!
クロ…俺だっておまえに会いたい…
待ってろ‼︎
…
くるし…
もうここまで来れば大丈夫か…?
家から大分離れたし…もういいか…
猫は死に際には姿を消す。
なんて、本当なんだな…ごめんな真昼。消えるだけならお前は希望を持てるだろ…?
まだ、笑えるだろ…?
俺が死んだらお前は絶望で笑わなくなりそうで…俺の一番好きな顔が見れなくなるのは死ぬより辛い…だからごめん。
最後くらい…会いたいけど、
あれ?…
俺、なんで…泣いてんだ?
自分で決めたことなのに…なんでこんなに涙がとまらないんだ。
真昼、真昼、真昼。
お前に拾われて、お前を好きになってよかった…。
『クロ…』
あぁ聞きてーなぁ…
お前の声…
「クロ‼︎‼︎」
この、声…もしかして。
「やっと…やっと見つけたっ…‼︎‼︎」
視界いっぱいに広がる真昼の顔、ボヤけてよく見えねーけど、真昼の顔…。
「クロッ‼︎‼︎お前なんで…黙ってたんだよぉ…」
俺の頭を抱えて、顔をぐしゃぐしゃにして泣く真昼。
あぁごめんな、結局お前泣いてるな…。
もう、どうしてこうなったか、どうして…どうして…どうしてを、お互いに真昼とクロは飲み込んだ。
そんなことより、会えた事が嬉しくて、愛しくて十分だった。
でも、
ゲホッ‼︎…エホッ…
また始まるクロの発作が、真昼を現実に引き戻した。
「クロ!早くっ‼︎病院っ‼︎‼︎」
「まひ…もう……い…。」
「もういいって、なんだよそれ…クロ、死ぬのか…?でも吸血鬼は…」
「おれ…は、長男だった…から。
結局吸血鬼も不死ではねー…て、こと。
おれは…何百年と、生きすぎた。
でも……なんで、いまとか、
俺だって…おもっ…た…
こんなこ…なら、人間に…生まれたかった…。 」
「クロ…」
真昼の腕の中でポロポロと涙を零すクロ。
「嫌だ!クロッ‼︎死ぬなよ、俺にはお前が必要なんだよっ‼︎‼︎
お願いだから…
行かないで…。」
「真昼…
もう、感覚殆ど残ってねーんだ…
だから、最後に…お前の笑顔が…見たい…」
言葉にならない悔しさ愛しさ苦しみが真昼を覆う。
必死で、涙と鼻水で汚れた顔をけに向け、ひくつきながらも口角を上げる。
「ヒグッ…グズ…」
クロは、今までにないくらい優しくニッコリと笑い、まだ微かに動く右手で真昼の顔を自分へと引き寄せた。
「真昼…すきだ。だから、ずっと…笑顔で…。」
小さく呟いた言葉と共に、涙と笑顔に濡れた口付けを交わす。
スッ…
瞳を閉じたクロが真昼の腕の中に残った。
「〜〜〜ッッックッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
悲しみが真昼を襲った瞬間、クロの体が塵となって消えていった。
チリリン…
真昼の腕のなかに残ったのは、契約を交わした時にあげた、小さな鈴だけだった…。
最後のクロの笑顔と、口付けを交わした場所のかすかな体温を残してクロは空に上がっていった。
もう声もでない
大事な人がいなくなったのに、なんで俺は…笑ってるんだ…。
『真昼の笑顔が…』
知ってる、知ってるよ…
俺の笑顔が好きなんだよな…。
だから…なかないっ…
絶対泣かないから…だから…
お願いだから…ぁ……
もう一度だけ、クロに会わせてくれよ…。
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