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背徳
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「…彼女さんは、いいの」
そっと彼の頬に手を伸ばしそう聞けば、彼は鬱陶しそうに眉を寄せた。
「いまはそんなこと忘れろ。俺が抱いてんのはお前だ」
ぎらりと光る眼。それにつられるようにして頷いた。
彼と体だけの関係を持ち始めてから、もう随分と経った。
彼とは幼馴染みだった。…仲がいいわけではなかったけれど。
ある時流れで関係を持ち、何故かハマってしまったらしい。
'男同士に恋情は発生しない'
そう言いながら俺の身体を求める。
彼女のところに行けと再三言っているのに、強引にでもコトを進めようとする彼に俺は逆らうことができなかった。
「…っは…」
押し殺した声が漏れ、ぐっと唇を噛んだ。
「何ガマンしてんだよ」
くつりと笑って、その指でくちを割り開かれる。
キッと睨みつければ、愉しそうに細められる目。
「…そう、そのカオだよ。アイツはそんなカオしねえからな…つまんねえ」
アイツ。心の中で復唱して、彼女のことだと思い至った。
出せと言えない代わりにくちの中の指を噛んだ。
あっさりと出て行く手に少しだけ拍子抜けした。
「なァ、」
好きだぜ?
笑みを含んだその声に、胸の奥にわだかまった怒りともうひとつの何かがふつふつと溢れ出る。
「っ俺は…おまえ、なんか、キライだよ…っ」
息を切らせながらなんとか発した言葉に、くつくつと笑う彼。
怒りとともに溢れるそれがなんなのか。
気づいたら戻れないような気がして、必死にそれから目を背け続けた。
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