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拒食症※嘔吐表現あり
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胃の中から何かがせり上がってくる感覚に、反射的にくの字に体を折り曲げた。
「…っ、ぅ、あ''…ッ」
ごぽ、と音を立てて出てくるのは不快な酸っぱさのある胃液だけ。
当たり前だ。食べたものは全て吐いてしまったのだから。
不快な味を誤魔化そうと勢いよく咳き込む。
吐き気と咳で涙目になりながら自分の手を見れば、それはもはや重病人であるかのように細くなっていた。
「…あーぁ。醜い」
食べることが出来なくなって、どのくらい経っただろう。
食べては吐いて。お腹が空けばその繰り返しだ。もう、空腹すらわからなくなってきてしまったのだが。
自分は、どうなってしまうのだろう。
恐怖はないわけではない。でも、それ以上にもうどうでもよくなっていた。
楽になりたい。
治ってくれるのならそれがいい。けれど、もう治らないのなら。
ごぽ、と音を立てて零れた咳からは、妙に甘い鉄の味がした。
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