アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
西洋の鬼 3
-
イライラしてる俺をなだめるべく、隣に座る銀司さんが、肩に腕を回す。
「落ち着け、若葉」
わかってる。
わかってるけど、どうしようもないモヤモヤが、溢れて止まらないんだ。
「...それでは、一つ目の議題。西洋の鬼をこれからどうしていくかについて、話し合いたいと思う。
何か意見があるものはいるか?」
叔父さんがそう言うと、生徒会長が口を開く。
「ぶち殺すしかないだろう」
「君はもっと美しい言葉遣いは出来ないのか?まあ、その意見は最もだが」
続く風紀委員長の水瀬先輩に、右京さんも頷いている。
右京さんの彼氏の鞍馬先輩は、相変わらず無表情だった。
「ぶち殺すのは賛成だが、どうやってぶち殺すんだ?向こうの人数や居場所、力量だって俺たちは何も知らないんだ。そう簡単に行くはずがない。安易に動けばこの学園の誰かが死ぬぞ」
その場を制す銀司さんの言葉に、思わず目を瞑る。
「今回の犠牲者は3人。阿久津仁と、不和呼詠。そして、十朱若葉だ。皆命に別状は無かったが、それは運が良かっただけの事だ。俺たちが気付かなければ、どうなっていたか冷静に考えてみろ。犬神の不和でさえ太刀打ち出来なかった相手に、力のない学園の生徒が抵抗できると思うか?」
【運が良かっただけ】
銀司さんの最もな意見に、皆が黙る。
阿久津も呼詠も、俺だって、死んでも可笑しくない状態だったんだ。
相手はそれ程迄に、本気だったって事だ。
「不知火君の意見は最もだ。冷静に考えて、下手に此方から動けば被害は免れないだろう」
叔父さんがそう言うと、生徒会長が声を荒げた。
「このまま生徒が襲われるのを待てって言うのか!?」
「そう言っているわけでは無いよ。朝霧くん、どうか落ち着いてくれ」
ピリピリとした雰囲気が、部屋を覆う。
「...俺、囮になるよ」
そう言った途端、皆が一斉に俺の顔をみた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
88 / 117