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西洋の鬼 13
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うっすらと感じる体温に、ゆっくりと思考が揺り動かされる。
目を開ければ、そこは暗闇。
でも、銀司さんの匂いで溢れかえってるから、ここは銀司さんの寝室か
小さな寝息をたてながら眠る銀司さんに、身を委ねてみる。
厚い胸板に頬を寄せると、銀司さんがもぞもぞと動き出した。
「ん...、若葉...起きたのか」
「起こしちゃって、ごめんなさい」
小さくそう謝ると、大きな手でゆっくりと頭を撫でてくれる。
「銀司さん、今から俺、ちょっと気持ち悪いこと言うかもしれない」
「なんだ?」
「あんね、俺が欲しいのは、理性で抑えられるような恋じゃないんだ。まるで、ぐちゃぐちゃに溶けて、絡まって、混ざり合ったような、本能で生きるような、そんな醜い愛が欲しい。全てを失ってでも、側に居たい。変なこと言ってるのはわかってる。でも、好きなんて言葉じゃ、もう足りないんだ」
「俺はお前を手放すつもりなんてないし、俺も同じことを思ってる。若葉が俺から離れていくくらいなら、俺がお前を喰ってやる。そうすれば、永遠に一緒になれる気がするからな」
銀司さんがあまりにも真剣にそう返すから、なんだか可笑しくなって、クスクスと笑う。
「じゃあ、喰べてよ、俺のこと。俺、銀司さんになら、喰べられてもいいよ」
「ばか、可愛くいっても駄目だ。離れていかないなら、喰わないでこうしている方が幸せだ」
「離れるわけないだろ。俺、銀司さんがいないと、独りになる。稜も阿久津もいるけど、銀司さんが居なきゃ、俺は独りだ。そんなの、耐えられない」
「お前は独りじゃないだろ」
銀司さんの優しい声が、胸を熱くする。
「でも、俺には家族がいないんだ。毎日誰もいない部屋に帰ってくるのは、寂しいよ。本当はずっと、寂しかったんだ。でも俺、寮に入って、銀司さんがうまいうまいってご飯食べてくれて、ずっと側に居てくれて、本当に嬉しかったんだ」
そう言うと、ゆっくりと抱きしめられ、頭を撫でられる。
その腕には、確かな力がこもっていた。
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