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志願兵と 2
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(皆、それぞれの教室にいるはずだ)
別れ際にそう教えてもらい、【第1学年壱組】
と書かれた教室までやってきた。
ガランとした教室に、ポツリと固まって話している3人組が、ドアのガラス窓いから見て伺える。
そっとドアを開けると、3人と目が合う。
背の高い、焦げ茶色の髪の毛をした子が、「あっ」と声を出す。
「颯」
「...覚えててくれたんすね」
「忘れるわけねぇだろ」
御堂颯、片桐緑香、桐生天袮。
この場にいる全員が、かつてはチームジャスティスのしっぽ取りで共に戦った戦友だ。
「十朱先輩。大変なことになりましたね」
眼鏡をクイっと持ち上げながら、緑香が苦笑いをする。
「僕は今回は、救護班として参加させて貰いました。何せ僕は、戦闘向けの妖怪では無いのでね。一旦木綿の僕には絞め殺すことしか出来ませんよ」
風紀委員でもある緑香は、確か傷の手当が得意で、しっぽ取りで血だらけになった戦士たちをいつも手当していた筈だ。
真面目な顔して恐ろしい事を言うあたり、中々侮れない。
「俺も体術は得意じゃないけど、妖術なら多少心得があるんで、参加したっす」
そう言って、颯が悪戯っぽく笑う。
「妖術なら僕だって負けないんだけどなぁ」
そう言って、一番背の低い天袮が頬を膨らませる。
その可愛さは、稜に負けず劣らずと言った所だろうか。
その微笑ましい光景に、胸がギュッと苦しくなる。
何時までこうして笑っていられるのだろう。
「3人共、本当にありがとう。」
深く頭を下げると、颯が慌てたように声を出す。
「ちょ、先輩!!頭あげてください!俺たち、先輩のこと尊敬してるんすよ!大事な先輩に、頭なんか下げて欲しくないっす!」
「そうですよ。普段はアホで一見ちゃらんぽらんそうに見えるけど、筋の通った先輩だと思ってるんですから。みすみす放っておく事も出来ないですよ」
「過剰評価しすぎだよ、ばか。でも、本当にありがとう。感謝してる」
「最後まで皆で頑張りましょうね、十朱先輩!チームジャスティス、必ず生きて帰りますよ!」
そう言って照れ笑いをする天袮に、無性に泣きたい気持ちにさせられた。
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