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志願兵と 4
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天袮が少し腫れた目のまま、わざとらしく微笑んで帰って行くのを見届け、【第2学年壱組】
と書かれた教室に足を踏み入れる。
辺りを見渡しても人の気配はせず、ただ教室だけが静かにそこにあった。
まだ来てないのかな。
グッと足に力を入れ、その教室を後にする。
一番最後にまた行こう。
そう決めて、【第3学年壱組】と書かれた教室まで、静かに歩く。
ドアをノックして中に入ると、私服姿の3人の先輩が一斉に此方を向く。
「失礼します。初めまして...です、よね?」
控えめにそう聞くと、黒髪短髪の人が、切れ長の目を一度伏せ、「そうだ」と言った。真っ黒な着物が、よく似合っている。
「天羽寺玄と言う。八咫烏の一族の末裔だ。宜しく頼む」
威厳ある低く響くその声に、俺は黙って頭を下げた。
「怖がらないでくださいね。彼は堅物だけど、悪い人じゃないんです。私、雪女の天津一沙と申します。正確には雪男...なんですけどね。以後、お見知りを」
そう言って微笑みながら軽く会釈する天津先輩に、ドギマギする。
まるで女性かと思う程に透き通る美しい肌に、透明感のある白い髪の毛。
睫毛も肌も、髪の毛も、全てが白い。
まるで天使を見ているような気分だった。
天羽先輩とは対照的な白い着物に身を包んでいるけど、天津先輩もよく似合っていた。
私服が着物って、流石だな。
「宜しくお願いします」
そう言って、頭を下げた。
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