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志願兵と 6
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「...先輩達は、何故志願されたんですか?」
俺の問いに、穂高先輩が微笑む。
「僕たちは幼い頃、和鬼に命を救われたんだ」
「...命、を?」
「そうなんです。幼い頃、私は人間に囚われてしまってね。椛と寺玄が助けに来てくれたんだけど、そりゃあ術も未熟な子どもが集まっても、大勢の人間には敵わなかったんです」
「........」
「そして、幼心にもうだめだ、殺される。そう思った時に現れたのが、純血の和鬼だったんですよ。豪快な方でね、大笑いしながら小屋に入ってきて、人間が唖然としてる間に、フラーっと助け出してくれました」
「そうそう!!あれは凄かったよね!僕、正孝さんの事は、絶対に忘れないよ」
穂高先輩がその言葉を発した瞬間、頭の中が真っ白になる。
正孝。
俺の知ってる正孝と、彼らの言う正孝が、同じ人物だとしたら
「十朱、正孝...、」
ボソッと独り言のように呟くと、穂高先輩と天津先輩が、優しく微笑む。
天羽先輩も、心なしか優しい顔つきに見える。
「僕たちは、君の味方だよ。十朱若葉。恩返しをする時がきたんだ」
ちっぽけな心臓が、ギュッと苦しくなる。
お父さんに笑われないように、しっかりしなきゃ。
「天羽先輩、天津先輩、穂高先輩。本当に、ありがとうございます。俺、絶対に負けないんで。お父さんに笑われないように、親父に胸はって生きる為に」
全く面識のないと思っていた先輩達との意外な共通点に驚きつつも、力強い味方の存在に、小さく胸を打った。
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