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志願兵と 7
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3人の先輩に別れを告げ、【第4学年壱組】の教室を目指し、足を進める。
長く立派な廊下の先から聞こえる聞き覚えのある声に、思わず笑顔になる。
ちらりと志願者リストに目を落とすと、そこに浮かぶ【不知火銀司】の5文字。
強くて格好いい名前。
数ヶ月前に、この名に怯えていたことを思い出す。
毎日同じご飯を食べて、毎日同じ時を過ごしている所為か、今では何年も前からずっと一緒にいたような気持ちにさえなっているのに。
心境の変化というものは、色々な意味で恐ろしいものだ。
【同性愛】というものに抵抗や偏見は無くなったし、人は見た目で判断しちゃいけないと言う言葉にも、納得がいくようになった。
整った顔、色黒な肌、変な訛り。
無表情なせいか見た目は怖いけど、とても優しい。
気づけばいつもさり気なくフォローしてくれる右京さんは、この学園で初めて出会った人。
今考えれば、初めて出会ったのが右京さんでよかったなと、心から思える。
◯第4学年壱組
・信楽右京
・鞍馬朔
・不知火銀司
・柊紫乃
・柊志弦
・一堂千草
・雲居鉄心
志願者リストに書かれた名前で、話したことのある人物は2人だけ。
リレーに出ていたから鞍馬先輩と雲居先輩のことは知っているけど、その他の人を含め間近で会ったことさえない。
流石にこれだけの人数の初対面の人達に顔をあわせるのは緊張するなあ。
カサカサとリストをポケットにしまい、教室のドアをノックする。
「おう」
中から銀司さんの声が聞こえ、ゆっくりと教室のドアをあけると、大小様々な7人が顔を揃えていた。
「...、失礼します」
多少どもりながらそう言うと、銀司さんがニヤァと口角をあげる。
「なんだ、緊張してんのか?」
「そ、それは....!初めましての人ばっかりだから!」
仕方ないだろ!と言う風に銀司さんを軽く睨むと、銀司さんが更に笑う。
「まあ、気にすんじゃねえど。此処に居る奴らは、アホだけどいい奴らだでな」
低く心地よい穏やかな声が、教室にポツリと落ちる。
みんなが、小さく笑った。
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