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志願兵と 9
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「...銀司は俺らの、大事な仲間だでね。助けてくれた若葉も、俺らの仲間だど」
そう言う右京さんと、隣で腕を組む鞍馬先輩。
「...右京の大事なものは、俺も守る」
「...えっ、」
ボソッと呟かれた低い声に、耳を奪われる。
あの大事な会議でさえ喋らなかった鞍馬先輩が、喋った......
呆然としていると、銀司さんがクククッと笑う。
「鞍馬は、右京の事になると喋るんだ」
フンッと鼻を鳴らす鞍馬先輩が、まるで飼い慣らされた猛獣に見えて、笑えてくる。
「...ふふ、」
何が可笑しいんだと言いたげな目で俺を見る鞍馬先輩に、前よりも少し親近感が湧いた。
ふと、蜜柑色の髪の毛が揺れる。風紀の副委員長を務める雲居先輩の、綺麗な薄つつじ色の瞳が、俺の瞳を覗き込む。
「銀司が好きになるのも無理はないな」
「!?」
突然そんな事をポロリとこぼした雲居先輩は、目を細めてコロコロと笑う。
「お前とあってからの銀司は、馬鹿みたいに幸せそうだ。俺もそろそろ、想いを告げる時期かも知れんな。便乗ってやつ」
頭の後ろで腕を組み、雲居先輩は笑顔を崩さない。
「好きな人が、いるんですか?」
「ん?...おー。いるな。いる。彼奴も有志で参加したらしい。馬鹿だよなぁ。まだ顔は合わせてないかい?元気などチビだよ」
「元気な...どチビ...」
思い当たる人が、一人。
「ふはっ、まあ、そんな事はどうでもいいさ。銀司の大切な若葉くんを、俺だって見捨てたりは出来ないからな。彼奴のことは、その後でいい」
雲居先輩はスッと目を細め、またコロコロと笑い出した。
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