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志願兵と 12
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キッ!!!
っと薄茶色の目で睨まれたのをスッと受け流し、全てを誤魔化そうとしたけど無理だった。
「朝霧。変な呼び方やめてって何度も言ってるだろ」
「何でだよ。だって彩ちゃんだろ」
「んふ...」
「ってか、十朱くん笑い過ぎだからね、噛みちぎるよ」
ひぃいい!!!!
狼怖い!!ごめんなさい!!
そんなやり取りを見ていた背の高い男の人が、クスクスと笑う。
「なんやぁ、面白い人たちやなぁ。芸人でも目指してはるんとちゃうの?」
「どうでもいい寝たい」
「どうでもいいやって、虎ちゃん冷たいなぁ。あ~、俺、薬師寺八千代言います。よろしゅうね」
おっとりにっこり笑うこの人が、噂の天狗か!!
赤と白の綺麗なグラデーションのポニーテールが、嫌という程に似合っている。
「ほんでほんで、こっちの眠そうな死んだ目してはるのが虎ちゃんやで」
「古市重虎だ。虎ちゃんじゃない。寝たい」
鳶色の三白眼を細めて訂正する古市先輩も、確か食堂で会ったことがある。
でもどんだけ寝たいんだよこの人。
「一通り挨拶は済んだようだな」
そう溜息をつく水瀬先輩に、頭を下げる。
「リストを貸していただいて、ありがとうございました。皆を教室に呼んでくれたのも、先輩だと聞きました。本当に、ありがとうございます」
「気にしなくていい。俺がやりたくてやっただけだ」
水瀬先輩は怖い先輩だと思い込んでいたけど、本当は優しい先輩なんだろうな。
関わりもない俺の為に、ここまでしてくれるんだから。
「俺たちは皆、唯の生徒じゃねぇ。誰にも負けねぇ妖力を持ち、この学園を守る立場にいる。お前がこの学園の生徒である限り、お前は俺らが守ってやるから安心しろ。まあ、ぬらりひょんなんてダセェ妖怪に生まれちまったおかげで、戦闘は得意じゃねぇけどな」
そう言ってニヤリと笑う朝霧先輩が、なんだか頼もしく見えて
やれやれと溜息をつく村雲先輩や、晴ちゃんかっこいい~!なんて騒いでる薬師寺先輩や、もういい寝る。って言ってる古市先輩。
それを黙って見守る水瀬先輩。
なんだかキャラの濃すぎる役員のこの人達を、少しだけ好きになれた気がした。
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