アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
志願兵と 13
-
小さく靴の音を響かせながら、無駄に長い廊下を歩く。
見上げれば、どうした?という顔でこっちを見る銀司さんと目があった。
あれから5年生の教室を後にし、2年生の教室に行ったけど、やっぱり誰もいなかった。
何でだろう。伝え忘れたのかな。
いや、水瀬先輩に限ってそんな事は無いだろう。
なんて考えながら、エレベーターに乗り込み、6階のボタンをピッと押した。
銀司さんは全く気にしていない様子で、もう13時か...。なんて呟いている。
もう、そんな時間か。
「お腹すきましたね」
「そうだな。肉が食いたい」
そう言って銀司さんは、くぁあ、と短い欠伸をした。
部屋の前にたどり着くと、なんだか騒がしい。
部屋の中から声がして、思わず銀司さんをパッと見る。
「若葉の仲間たちに頼まれたんだ」
「、え?」
戸惑いながら部屋に入ると、漂ういい香りに、思い切り息を吸った。
「おっかえり若葉ぁ~!!」
「り、稜!?」
ぴょんと飛び出してきた天使に、思わず声をあげる。
「若葉ち~ん!阿久津と俺もいるよ~」
んへへ~と笑いながらピースをしてくる呼詠と、フンッと顔を背ける阿久津。
「...いいから早く入れてあげなよ」
その後ろで呆れた声を出しているのは、直ぐに風邪を引くと有名な学級副委員長の、結城影虎こと、牛鬼のゆっきー。
その隣に涼しい顔をして座るのは、ゆっきーの恋人の春家風牙。
第2学年で、有志で残ってくれた人達だ。
「今日はね、みんなでご飯を食べようと思って、沢山美味しいの作ったんだよ!」
ふわりと天使のように笑う稜に、ぐいぐいと引っ張られてテーブルに向かう。
色取り取りに並べられた様々な料理が、俺の食欲を刺激する。
「因みに唐揚げは、俺が稜の為に作ったんだから食うなよ」
「こら!意地悪しないの!」
「んふふ~!賑やかだねぇ、若葉ちん!こう言うのもたまにはアリだねぇ~」
「...いいから座りなよ、若葉くん」
ゆっきーにそう言われて、歩き出そうとするけど、足に力が入らない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
112 / 117