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志願兵と 14
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みんながこうやって集まってくれたって事が、嬉しすぎて
ゆっきーと風牙なんて、あんまり話したことないのに同じ空間にいてくれて
呼詠がいつも通り馬鹿みたいにはしゃいで
阿久津は相変わらずあたり強くて
稜は天使なのかオカンなのかわからないから、もう天使属性のオカンでいいよな。
「あり、がとう」
小さくそう零した言葉と一緒に、溢れる涙を、銀司さんが優しく拭う。
「嬉しい時は、笑え」
強気な笑顔と目があって、うるせえ。なんて思いながら、頬っぺたに優しくキスをした。
俺の嫁可愛すぎる とか言ってる銀司さんを放っておいて、みんなの座るテーブルに急ぐ。
馬鹿な話をして、ふざけてはしゃいで、阿久津と喧嘩して、オカンに怒られて
呼詠が訳のわからないギャグを言って、それをゆっきーが素晴らしい塩対応で流して、春家が笑う。
そんな俺たちをソファーに座りながら、楽しそうに見ている銀司さん。
こんなにも暖かい世界で生きられる俺は、幸せだ。
ガタッと音を立てて、稜が銀司さんに近づき、腕を取る。
あんなに銀司さんに怯えていた稜が、笑顔で銀司さんを連れてきて、俺の隣に座らせる。
困ったように照れ笑いをこぼす新鮮な銀司さんの表情に、思わず吹き出す。
ちょっと嫉妬した阿久津が、拗ねながら稜を座らせる。
銀司さん相手じゃさすがに強気に出れないのかと思うと、それが更に可笑しくて、稜と顔を見合わせて笑う。
「若葉くん。君の周りは、賑やかでいいね」
珍しくそんな事をいうゆっきーに、大きく頷く。
「みんなと知り合えて、本当に良かった」
小さく染み渡るその言葉に、照れ笑う俺に、銀司さんが小さく笑う。
いつまでもこの時間が続けばいい。
この穏やかな時間を、守りたい。
叔父さん、俺をこの学園に入れてくれてありがとう。
父さん、母さん。
俺を鬼として産んでくれてありがとう。
今は、心の底からそう思えるんだ。
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