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届かない右手 2
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叔父さんに、生と死の元素のことを相談してみたけれど、叔父さんも何も知らないらしい。
どうせ持っているものなのだから、皆を守る為に使いたいのに。
これじゃあ力の持ち腐れじゃないか
なぜ他の元素と同じ様に扱えないんだ?
土と水は、なんとか形になってきたというのに。
特訓後の風呂は、身体に染みる。
叔父さんは思いの外強くて、歯が立たなかった。全力で来い。なんて言ってニヤリと笑う姿が、脳裏に浮かぶ。
なんであんなに強いんだ?
実践を知っているから?
本当の殺し合いを知っているからなのか?
悶々とした気持ちを抑えるように、湯船に顔を付ける。
「...ぷは、」
苦しくなって顔を離せば、波紋が広がっていく。
「わかばーー」
出てくるのが遅い俺を心配した、銀司さんの声が遠くから響く。
「はーい!今上がります!」
軽く水気を切って風呂から上がり、バスタオルで丁寧に拭き取る。
既にシャワーを浴びた後の銀司さんが、ココアを飲みながらソファーに座っていた。
「銀司さんがココアって、珍しい」
「たまに飲みたくなってな」
バスタオルを首に掛けたまま銀司さんの隣に座ると、銀司さんが笑う。
「今日は甘えん坊モードか?」
ぐいっと手を引かれ、洗面台まで後戻り。
「別にそういうわけじゃないもん」
「素直じゃない若葉も、嫌いじゃない」
鏡越しに笑う銀司さんから、目を反らす。
ブオーーと鳴り出したドライヤーの音と、銀司さんの温かい手に心地よさを感じ、目を瞑る。
どうかこの人だけは、この温もりだけは
手放さなくて済みますように。
神様になんか頼んだって仕方のない事だけど
目を開けばそこに居る、大きな温もりが余りに愛しくて
「銀司さん」
「んー?」
「すき!」
「...俺もすき」
少し照れたように目を細める銀司さんに優しくキスをして、どうか俺の願いが神様に届きますように。と強く抱きしめた。
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