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おどろくおれ
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「おじゃま、しまーす」
玄関入って正面に歯が欠けた犬の置物。なんだか懐かしい感じがしてじぃーっと見ちゃった。
「ねぇ、おれこれ見たことある?」
「…なんで?」
「わっかんないけど、懐かしくない?」
一瞬建の目が泳いだ気がしたけど、うん。気のせいかな。
建の部屋に入るとおれの部屋より数百倍綺麗にしてあって、どこ座ればいいか迷った。したらクッション渡してくれて、取り合えずその場に座った。
「飲み物取ってくる」
「うん」
やっぱ、なんか、そわそわする。いったん立ち上がって、どうしようかってなって、扉を開けたらちょうど建が帰ってきた。ふう。
「どうした?」
「んーや、落ち着かないだけ」
ふっと笑った建。なんだよ、しょうがないじゃーん。
建は折りたたみの机を出してその上にジュースを置いた。そんでベッドを背もたれにして座った。
「こっちおいで」
建は隣をぺちぺち叩きながら、丸いクッションを両手で抱いて突っ立ってるおれを呼ぶ。
「建ちもうやだーなんか緊張すんだけど」
「そう?」
学校とは違う顔で笑うからなんかそれもどきってするし。もーなんなの?
「で、中学の話だったよね」
もらったジュースをちびちび飲みながらうなずく。その反応を見た建はアルバムを持ってきてくれた。
そういえばおれ、中学んときのアルバム無くしちゃったんだよね。
「これ俺」
「あは、かわいーじゃん」
「これが真姫」
「変わらずイケメンね」
右端でおれだけそっぽを向いて、建は無表情で立っている写真だった。おれの髪は今よりも短くて、まだ色がついてなかった。初々しい感じ。かわいいわねー。建はすでに少し色が入ってて、ピアスもあいてた。ちょーイケイケじゃん。
「ケンケンどこー?」
一人ひとりの顔写真。普通クラスごとにまとまってるけど、建はどこにも写ってなかった。
「なんでいないの?」
「二年の終わりに転校したから」
「あ、だからか」
だから建のことわかんなかっ、た…あ、れ?なんか、突っかかってる、なんだ、これ。
「俺らは同じクラスだった」
「だよね、そんな感、じ……え、まって」
「そんで、相棒だった」
ぐるぐるぐる。頭も目も回る。理解、できないぞ。ん?なんだ?…じゃあ、なんで建のこと、覚えてないの?なんで教えてくれなかったの?
なんで、おれの中に、建がいないの?
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