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いけめんなおれ!
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「…あの犬の置物」
「うん、」
「真姫が初めて家に来たとき、壊したのがあれ」
ガバッと建から離れて、目をぱちぱちしながら建を見る。
「えっ壊したの?」
「いや、ぶつかって落ちただけ」
「…こわしたんじゃん、」
ははっ、じゃないよもう!おれ出禁でしょぜったい!
ポカッとパンチを入れても堪えきれてないよ、笑いが。もー。…というか、ほんとになにも覚えてないや。建のこと。
「…どうしたら思い出せるのかな、」
「いや、思い出さなくていいよ」
真姫はそのままでいい
そう言う建の気持ちがわからない。
「なんで?」
「俺だけの思い出」
「…ぇえーなにそれ、ずるーい」
高校に入って、中学んときの友達とふらふらしてたら、建が声をかけてきた。お、なんだこのイケメンチャラ男は!と思ったのがそんときの印象。話してるとなんだか懐かしい匂いがして、あ、この人とは仲良くなれそうって直感的に思った。案の定、こんなに近い存在になった。他にはしないスキンシップも、なぜか建にだけは多くなってしまう。というか、無意識にやってるみたい。建も嫌がらないし、自分の中では普通になってた。…あ、そうか。なんとなくわかった。
「おれも建がすきだった、ってこと?」
建は特別だって。感覚で覚えてたんでしょ?きっと。
「…わからない」
「あは、きっとそうだよ!」
おれ、建のこと、だいすきだもん!
「真姫は女の子と、」
「やっだよーん。もう建と付き合うって決めた!」
「…はあ?」
「友達なんてヤめよ!」
「え、ちょっと、」
「てかてか!髪はやく直してよ!」
はあ、ともう一度小さく息を吐いたケンケン。だってぐしゃぐしゃにしたの建だもーん。
渋々おれの後ろに座り、ごわごわ髪の毛をいじり始めるケンちゃん。
「ねね!おれら、ちゅーしたんでしょ?」
「え、なんで知ってんの…?」
「さっき自分で言ってたじゃーん」
「え、まじかよ」
おっちょこちょいなケンケン。はいはい、手は動かして!
「だったらさ、もっかいちゅーすれば、おれの記憶も戻ると思わない?」
「…はい?」
渋る建にしびれを切らしておれからちゅーしたけど結局、おとぎ話のようなことは起きなかった。残念。
でもその代わり、おれたちはイチャイチャ度が増した。と思う。ちょーラブちん。
だから、めでたしめでたしってことじゃない?
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