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カレカレ事情 部活 : 朝霧+越智
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朝霧side
「うお、すげーな」
「そ、う…?」
体育館に入って、オレはすぐ感嘆しざるを得なかった。
ライトに音響など、そういった物が全部揃えてあったからだ。
「…ま、オレらの学校じゃ普通のことか」
「……ん」
オレらの学校、桜珱学園(おうようがくえん)では勉強、部活、全てが完璧にこなされなければならない。
小学校は附属、中学から中等部といった形で、この名を背負うことになる。
そんでまぁ、これは普通だけどクラスも勿論、成績順だった。
「あれ?あそこにいるの、当麻君じゃない!?」
「えっ、嘘!?ホントだ!!」
「あっ、越智先輩も一緒だー!」
「相変わらず仲が良いよね、あの二人!」
それは、演劇部の一年生の声だった。
「…あい、かわら、ず、モテモ、テ……」
「そうか?」
「……そう」
女の子達に手を振ってると、今度は違う声が掛かってきた。
「越智、来たのなら練習入ってくれ」
「分かっ、た」
そうして、ジャージに着替える為にオレと別れたけど…、オレどこ行けば良いのかな。
「おー、お前が朝霧当麻か」
「!、誰?」
気付けば、目の前に一人の女子がいた。
「私は演劇部の部長をしていてな。君の話はよく聞いてるよ。まぁ、見学ならこちらに来たまえ」
そうして、案内されたのは部長席の側だった。……って、
「おかしいだろ!?」
「あっはっはっ!まぁ、そう気を張らんでも良いのだ。そこらの椅子にでも座ってくれ」
何と言うか、女子の割りにはすごい豪胆な人だと思った。
と、一つの影がそこに入った。
「!……ゆっきー」
「彼はすごいぞ、見ておけ」
言われなくとも、とオレはゆっきーに目を向ける。
「【汝は何を求める?勇気か!?希望か!?力か!?知恵か!?】」
ゆっきーがそう口にすると、一人が答えた。
「【そんなもの、いらない!】」
それに、目を細める。
「【本当に、いらないと言うのか?】」
「【私の願いは、仲間が幸せに暮らすこと!それさえ叶えば、他の人達なんてどうでも良いわ!】」
「………何か、すげえ展開になってんぞ部長」
「あんなぐらいが丁度良いのだよ、朝霧当麻」
そんなことを話している内にも、台詞は続いていく。
「【何て傲慢なのだろう。仲間が幸せに暮らすこと、そんなものは自己満足に過ぎぬ。結局は、自分が楽になりたいだけ】」
「【~~~っ!】」
「【声も出ぬか?綺麗事を吐くその口は、最早ガラクタか?】」
「【そんなこと、ないわっ!!】」
「初めて彼の演技を見たときは、それは驚いたよ」
突然、部長がオレに言った。
「初めは裏方にしようと思ったんだが、あれは逸材だぞ」
「……」
「越智幸という魂が、その役にとりついているように見えるんだよ。私にはな」
あぁ、でもそれは―――。
「かなり、同意する」
「ほう、やはり君にも分かるか」
部長は、椅子に座ったまま指示を出していく。それが一通り終わると、また話を続けた。
「越智は、完璧に役をこなす。それは、どんなことにでも化けることが出来るという事だ。彼は演劇のセンスについては、天才だよ」
「……そうだな」
その事が一体何を意味するのかも、オレは既に分かっている。
「……早く捕まえないと、逃げられるぞ」
「………分かってんだよ、んなこと」
でも、まだ怖いんだよ。
また、あんなことになるのだけは嫌なんだ。
だって、そのせいでオレは――――。
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