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1 (R18)
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友則君のケータイに着信があった時、オレたちはセックスの真っ最中だった。
オレは全裸で、友則君は半裸で――シャツを脱ぎ捨て、ズボンの前だけをくつろげた姿で、獣のように体を繋げてた。
突然鳴った軽快な音に、ドキッとしてビクッとなったけど、友則君の方に動揺はない。ちゅうちょなくケータイに手を伸ばし、「もしもーし」って応じてる。
「おー、島崎さん。毎度どうもー」
四つ這いにしたオレを後ろから貫いたまま、友則君が余裕の声で笑った。そのままゆるゆると揺らされたけど、さっきまで激しく抱かれてた分、物足りなくて身悶える。
聞き耳を立てたい訳じゃないけど、快感に没頭することもできなくて、話の内容がイヤでも聞こえた。
島崎さんって、よく聞く名前だ。ケータイから漏れ聞こえるのは若い男の人の声で、敬語使ってるから多分、先輩。友則君の……遊び仲間、かな?
そう思ったのは間違いないみたい。
「えっ、乱パ? 今夜っスか? えらい急ですねー。いやいや、行きますよ、何時から?」
友則君がそう言うのを聞いて、ギシッと胸の奥が軋んだ。
乱パって、乱交パーティのことなんだって。
オレにはどんなものか想像もつかないけど、彼はそうやって誘われて、しょっちゅう行ってるみたい。楽しいっていうより、楽でいいって。
「好きだ何だって言われんのはウゼーし、駆け引きもメンドクセェ。ヤりたいヤツが集まって、みんなでわいわい、適当に楽しくヤれりゃそれでいーだろ」
前にそう言われた時、オレは何も言うことができなかった。
来る者拒まず、去る者追わず、誰の手も取らず……自由を謳歌してる友則君は、学生の間はずっと、こうして遊びまくるつもりらしい。
でも、オレだってその「遊び相手」の1人だから、文句なんか言えない。
オレは恋人でも何でもなくて、ただのたくさんの内の1人で。
友則君がもし遊ぶのをやめるとしたら、オレとの関係もなくなるだろうって分かってた。
「はーい、じゃあ、その頃にうかがいますんで。失礼しまーっす」
陽気な声で返事して、友則君がようやく通話を終えた。
脱いだ服の上に、ケータイが無造作に放られる。と同時に腰をガシッと掴まれて、いきなり激しく揺さぶられた。
「ふあっ、ああっ!」
突然の刺激についていけなくて、悲鳴が漏れる。
奥を容赦なく穿たれて、懸命に突っぱねてた手が、がくっと折れた。
「何だよ、物足りなかったんだろ?」
嘲るように言って、更に激しくオレを突く。痛いくらいの乱暴なセックス。でもそれすら、オレにはもう快感でしかなくて。
「はっ、ん、ん、んっ、あっ……」
喘ぎながら腰を揺らすと、彼がふっと笑った気がした。
間もなくオレの中に、友則君が精を散らした。
そのまま搾り取らせるみたいに3回突いて、一気にズズッと引き抜かれる。
「うあっ」
衝撃にうめいて、ガクッとベッドに沈み込むと、彼は逆に、あっけなく身を起こした。
キシッとベッドをかすかに鳴らして、床に降り立つ友則君。少し息を荒くして、くつろげてた綿パンをはき直し、ケータイをポケットに収めてる。
オレはベッドに寝そべったまま、顔だけ動かしてその様子をじっと眺めた。
いつ見ても、格好いいなぁと思う。
遊び人だってこと隠してなくて、色々悪く言う人もいるけど、それでもモテるのはやっぱ、格好いいからだ。
整った顔も、くっきり割れた腹筋も、たくましく引き締まった体も……頭のいいとこも。友則君は全部、格好いい。
その彼を独占できそうな人は、今のところいない。決まった人がいないのは安心でもあるけど、その反面、絶望でもある。
だって、今の「遊び仲間」の誰も、特別扱いしないってことでしょ?
友則遊馬は、誰にも愛を囁かない。
誰とも朝を過ごさないし、誰も自分ちには呼ばないし、誰にも寝顔を見せないらしい。
自分とセックスした直後、乱交パーティに行くって言う彼を、誰も止められないし、なじれない。
オレも。
「……行くの?」
声をかけても、ちらっと視線を向けられるだけで、「ダメか?」とも訊かれない。
「大丈夫? 乱パって、ビョーキとか……」
妊娠とか、とは口にしたくなくて言葉を濁すと、友則君は飲みかけのスポドリをぐっとあおって、あっさりと言った。
「ナマでやんねーから大丈夫だろ」
そう言われると、もうそれ以上は何も言えない。
オレの心配なんて無用だろうし、オレの許しも誰の許しも、友則君には必要ない。
行かないでって縋ったり責めたり泣いたりしたら、「ウゼェ」って言われて終わりだ。きっともう2度と、この部屋には来て貰えないし、抱いても貰えないだろう。
黙り込んだオレを見て、彼がニヤッと笑った。
「心配しなくても、お前以外とはナマでやんねーよ」
くしゃっと髪を撫でられて、ズキッと胸が痛む。
オレ以外とはナマでやらない。オレ以外に中出しをしない。それは単に、オレが男で――妊娠の恐れがないからだ。
「じゃーな」
たった一言そう残して、友則君はさっさと靴を履き、オレのアパートを出て行った。
振り向きもされないし、「また来る」とも言われない。
パタン、と玄関扉の閉まる音を聞いてから、ため息をついて起き上がる。
その拍子に彼の出した白濁が、大きくされた穴からこぼれて、イヤな感触にビクッとした。
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