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着替えて席に着く匠の前に料理を並べて グラスにシャンパンを注ぐ。何でシャンパン?…と、キョトンとした匠の目の前にグラスを掲(かか)げ、
『匠、メリークリスマス!』と言えば『あー今日クリスマスか!』と納得した様に笑った。
チンッ
やっぱり忘れてた。仕事 忙しいもんね。
シャンパンを一気に飲み干した匠が少し情けない顔をした。
『ごめん真琴、俺何も用意してなくて…。』
『うん、俺も… 俺もさっき気が付いたんだ。』
そう言えば、そっか、とホッとして笑う匠。別に毎年プレゼントのやりとりをしてる訳じゃない。クリスマスが重要イベントだったのは学生まで。社会に出れば仕事が優先。自然と優先順位は変わる。
でも四年前のクリスマスに匠がプレゼントしてくれたカシミアのカーディガンは俺の大切な宝物。俺があげたのは確かスケジュール帳だった。
ちょうど前日まで短期出張に行ってた匠が 出先でたまたま目に入ったからと買ってきてくれたそれは、社会人になりたての新人が買うには高価な品で…。
凄く凄く嬉しくて
『有り難う。一生大切にする。』
って言ったら フイッと横を向いて
『べ、別に!たまたま良さそうだったから買っただけだし…。』って言った。いや匠、口癖出てる。
今日もそれ着てるんだけど匠は何も言わない。でもそれでいい。だってさっき俺を見た時 一瞬口元が緩んだから。匠は気付いてくれてる。
あの頃はお互い慣れない仕事でテンパってて、生活もすれ違い気味だった。元々イベント事には疎(うと)い匠が 俺を気遣ってわざわざ用意してくれた事が本当に嬉しくて堪らなかった。匠はちゃんと俺の事を見ててくれる。それが伝わったから俺はクリスマスに特別な事をするのは止めた。毎年匠に気を使わせるのは嫌だし。
ただ一緒に居てくれる、それだけで幸せだから。
俺は俺に出来る精一杯で匠に愛を返す。
匠がいつも本当に美味しそうに食べてくれるから頑張って料理も覚えた。
匠は何を作っても『俺これ好きだわ。』って言ってくれる。でもたまに思い出したように『あれ食いたいな。』って言う。あれっていうのはキャベツのナムルの事で、まだお金も無く料理が苦手だった頃、初めて匠に『旨い!』と言わせた "料理" と呼ぶには余りに簡単な一品。あの頃の事も思い出して懐かしい味がして好きなんだって言う。
年を重ねてお互い大人になったけど 匠は変わらない。根っこの部分は 不器用だった頃の匠のまま。
照れたら素っ気なくなる所も 器用に立ち回れない所も 直球勝負な所も。
"キャベツのあれ" が好きな所も…
ここ最近凄く頑張って喋ってくれる様になったけど、このカーディガンに気付いても気付かない振りをするのも昔のまま。
そんな匠が堪らなく愛しい。
俺は匠の為に何かしてあげられるかな…
こんなに好きなのに 匠を受け入れられない自分の身体が疎ましい。辛い。
でも…今日こそは……
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「真琴ー。」
「あ、終わった?了解。」
晩御飯を食べたら匠が洗い物担当。それが終わったら今度は俺がコーヒーを淹れる。匠に買って貰ったコーヒーミルで丁寧に豆を挽く。
匠の為に心を込めてコーヒーを淹れる。
お風呂の準備を終えて ソファーに座る匠の前にコーヒーとプリンを出した。ぶっつけ本番だったから美味しいかどうか不安だったけど 匠はそんな俺の不安なんか吹き飛ぶ位の反応をしてくれた。
滅多に泣かない匠が泣いたから驚いたけど、それは嬉し涙だったみたいで 俺の方こそ泣きたい位嬉しかった。
匠が何度も『有り難う。』と言って俺にキスを落とす。俺の方こそ有り難う、と、キスを返す。
気持ちいい… 幸せ以外の言葉が浮かばない。このまま匠とドロドロになるまで溶けて繋がりたい。
大丈夫、大丈夫、もう俺は大丈夫……
頭の中で何度もそう唱える。
匠が俺をゆっくりソファーに横倒す。組み敷かれ 見下ろされた時、背中がゾクゾクッとした。一瞬またか… と思ったけど 違う、俺 嫌じゃない。これは悪寒じゃなく興奮だ。
匠の舌に咥内を犯されても 背中に回す手が服の下に滑り込んで来ても、嫌悪感なんて一欠片も無かった。
長い時間をかけて 匠がゆっくりゆっくり俺の氷を溶かしてくれた。何度も匠を傷付けてきた。恋人に拒絶されるのって どれだけ辛いんだろう。それなのに匠は俺に『自分を責めるな、俺が全部悪い。』と言い続けてくれた。
嬉しい… やっと、やっと匠と一つになれる……
匠が丁寧にカーディガンを脱がす。俺は背中を浮かせてそれを助ける。Tシャツを捲られて匠の舌がまるで生きてるみたいに俺の身体を這う。懐かしいこの感じ。愛しい人からの愛撫に心が震える。
やがて匠の舌が胸の突起に辿り付き 暖かい咥内に含まれた。
チューチュー、音を立てて吸われる。男なのに 恥ずかしいのに 気持ちいい…。思わず背中を反って胸を突き出す格好を取ってしまう。
その時、匠に背中に腕を回され ホールドされた。完全に身体の自由を奪われて 意識が朦朧(もうろう)としかけた時、もう片方の乳首をピンッと指で弾かれた。
!!!!
これは匠の合図。多分、無意識の癖。
匠はここから一気に獲物を追い詰める。
「たくみっ!!!」
その合図を受け取った瞬間、俺は叫んでた。
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