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匠が一瞬ビクッとして動きを止めた。
俺が叫んでしまったから。
嫌じゃなかった、本当に嬉しかった…、
でも 急に怖くなった。
頭で考えるより先に身体が思い出した。あの "合図" の後に襲い来る匠の劣情を。本気の全開モードを。そして 熱く激しく 求められ、まるで身体の芯を抜かれた人形の様に揺さぶられる俺の姿を。
ずっとしてなかったから 思わず怯(ひる)んだんだ。
折角の雰囲気を 俺がぶち壊した。
目頭が熱くなったのが分かったけど 涙を拭う資格なんて俺には無い。
中途半端な覚悟で また匠を傷付けた…
これで何度目?
「ご・・・真琴っ!・・過ぎ・・調子に乗っ・。大丈・・?」
匠が何か言ってる。
でもとにかく俺、匠に謝んなきゃ
「匠…。ごめん、俺…。」
何で蚊の泣くような声しか出ない? 俺!
情けない…まともに謝る事も出来ないなんて…
自分が許せない…
今度こそ呆れられる?愛想尽かされる?
「馬鹿、謝んなって何回言わせるつもり?」
その時、とても優しい声が降ってきた。
え ……
恐る恐る見上げれば、匠は いつかベランダで見た時みたいに 凄く優しい顔で俺に笑ってた。
全てを包み込む様な凄く安心する笑顔…。
匠は最近よくこの顔をする。
てっきり溜め息の一つでもつかれると思ってた俺は その顔を見て一気に緊張の糸が切れた。
「もう大丈夫だと思ったんだ。もう大丈夫だと…。匠…、好きなんだ、信じて?」
どうか信じて。お願い、信じて、と祈る様に繰り返す。
「大丈夫信じてる。真琴、愛してるよ。」
匠が優しく俺を抱き起こし、フワッと抱き締め、
「大丈夫、大丈夫、怖くない。」
と、リズムをつけて背中をトントンと叩いてくれる。まるで子供をあやす様に。
匠はどこまで俺を許すの?俺はまだ 許されていいの?
大好きな匠の体温に包まれ、大好きな匠の匂いを胸一杯吸い込んで、俺はその言葉を飲み込んだ。
大丈夫、匠は俺を信じてくれてる。だから俺も まだ自分を諦めない。
心地いいリズムに揺られながら 肩の力がふうっと抜けるのを感じた。
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