アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
おまけ
-
小川side
小さい頃から特別扱いされる事が多かった。
小学校でも先生達に よく可愛がられた。小三の時の担任は 忘れ物をしたら反省文を書かせ、皆の前でそれを発表させるという厳しい先生だった。でも私が宿題を忘れた時も雑巾を持ってくるのを忘れた時も、『ごめんなさい。』と言えば何故か私だけ許された。その時はそれが何故か分からなかった。
高学年になると先生達だけじゃなく 周りの男子達も私を特別扱いしはじめた。そしてその頃から女子の友達が段々と減りはじめた。
年に一度のクラス発表会で劇をする事になり、配役を決めていた時、ちかちゃんがヒロインに立候補した。当時ちかちゃんとは仲良しで よく一緒に行動していたし、私も ちかちゃんなら適任だと思い、心の中で応援していた。その時 一人の男子が私を推薦して、ちかちゃんと私とで多数決を取った。結果は私がヒロイン役。男子全員が私に挙手をしたからだ。
子供の頃はチヤホヤされるのが素直に嬉しかった。だけど少しずつ女子達の態度が変わっていった時、女子から嫌われない様に私なりに頑張った。でも所詮は子供の浅知恵、私はやり方を間違えた。仲良くしてもらおうとプレゼントをあげたり、家に誘ったり、人気者の男子から話し掛けられても無視を決め込んだ。でもそれが他の女子の妬みを生んだ。仲良しだったはずの子も自分に被害が及ぶ前に私から離れていった。
気付いた時には 私は女子から完全に孤立していた。
中学に上がるともっと酷かった。
違う小学校から来た子達も 何故か初めから私を遠巻きに見てた。身に覚えのない噂が立ったり、軽いイジメにも合った。
裏で手を引いていたのはちかちゃんだった。
その頃になると さすがに私も気が付いていた。
私は他の子より可愛い。
それが女子の妬みや嫉妬を生んでいるのだと。
悔しかった。負けたくなかった。
私が可愛いのは 私のせいじゃない。
そんな理由でやっかまれるのは納得出来なかった。
だから勉強を頑張った。誰にも文句を言わせない様に ひたすら勉強した。
おかげで成績はトップに躍り出た。
これで 周りも認めてくれる…
…と思った私が馬鹿だった。
私はしらない間に 『才色兼備』として他校にまで知れ渡り、それが余計に女子達を煽った。
同級生だけじゃなく先輩からも告白される様になり、上級生の女子にも目を付けられた。
もう頑張る気力も無かった。
何をしても裏目に出る…。
だから私は逃げた。
中学三年間をひたすら勉強に費やし、高校は誰も私の事を知らない県外の進学校に進んだ。
進学校とはいえ、一歩中に入れば 他所と何ら変わりない思春期の集団だった。私も年頃でお洒落に興味はあったけど 過去の苦い経験がトラウマとなり自己主張出来なかった。もう二度と独りになんかなりたくなかった。
目立たない様に制服も着崩さず、スカートも上げず、髪はおさげにして前髪で顔を隠した。仕上げにダサい伊達眼鏡まで掛けた。そうやってクラスに紛れ込んだ。
努力のかいあって友達も出来た。同じクラスの麻琴(まこと)。麻琴は好き嫌いがハッキリとした性格でクラスのリーダー的存在。真面目で大人しい(振りをした)私を何かと気にかけてくれた。
勉強だけは相変わらず頑張っていたから 麻琴には只のガリ勉に映っていたのかもしれない。自分を偽っている罪悪感はあったけど 久しぶりに出来た友達を失いたくなくて私は演じ続けた。
麻琴は本当に面倒見が良くて いつも側に居てくれた。私達は親友と呼べるまでになった…
…と思っていた。
二年生の時、麻琴から友達が文化祭で展示する写真のモデルを探しているから協力してくれと頼まれた。彼は写真部の部長で麻琴の幼馴染。麻琴はテニス部で忙しいから放課後は付き合えないんだと言った。正直やりたくなかったけど 、他ならぬ麻琴の頼みなので引き受けた。
その日の放課後から写真のモデルとして 彼の元へ通った。一日で終わると思っていた私が甘かった。本気で写真に取り組んでいた彼は アングルやシチュエーションに拘(こだわ)り、何枚も何枚も私を撮った。
次第に背景だけに留まらず私自身にも注文をつける様になった。要望通りの白いワンピースを着て、三つ編みをほどいて髪を下ろし、伊達眼鏡を外した。
そうして 髪を風になびかせながら夕日を浴びた私の写真が出来上がったのは 麻琴から頼まれた日から十日後、文化祭の前日だった。
大きく引き伸ばされたその写真は自分で言うのも何だけど凄く綺麗で、展示された写真の前には『これは誰だ?』と 人だかりが出来ていた。
そして…遂に 恐れていた事が起きた。
文化祭の後、彼に呼び出され 告白されたのだ。
私は直ぐにその場で断った。何故なら彼は麻琴の好きな人だったから。
直接本人から聞いた訳ではなかったけど、彼を見る麻琴の目は明らかに他と違っていた。
引き受けなければ良かった。自惚れじゃなく、経験が こうなる事を危惧していた。
私はまたしても判断を誤ったのだ。
本当は気付いていた。
でも気付かない振りをしてた…
麻琴が私を側に置いたのは自分の引き立て役にしたかったから。私に彼のモデルを頼んだのは、地味で目立たない私なら彼の側に置いても心配ないと判断したからだと…
その後は予想通りだった。
もういっそ笑える位の展開だった。
麻琴は 私が自分の幼馴染をたぶらかし その気にさせた挙げ句 こっぴどく振ったと周りに吹聴して回った。リーダーがそう言えば 子分共は従うものだ。
関係ない女子達も 例の写真を見せられて納得したみたいだった。その夜のSMSはさぞかし賑やかだった事だろう。
私は一晩にして 真面目なガリ勉から ガリ勉の皮を被ったビッチに降格した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 51