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あれから麻琴は傷心の彼に猛アタックして 見事彼女の座をもぎ取った。
そしてクラスでは私をハブるのに精を出した。
ちょっとでも私に同情的な態度を取った女子を目ざとく見付けては、自分の側近にするという "蜜" を与える。 それが男子だった場合、自分は私に親切を仇で返された、裏切られたのだと言葉巧みに同情を誘い 私から遠ざける。
そう、麻琴はズル賢かった。自分の敵になりそうな人を攻撃するのではなく私より先に懐に抱き込むのだ。
私はそれを ただ傍観するしかなかった。
そして知った。
『世の中 騙し合い。ずる賢い人間が得をする。』と。
私は生き方を変えた。
幸いにも 私には恵まれた容姿がある。今までこの容姿のせいで苦労ばかりしてきた。今度はこれを "武器" にのしあがってやる。
元々負けん気の強い性格で 溜まりに溜まった うっぷんは とうに沸点に達していた。
腹を括ってしまえば早かった。今まで ちかちゃんや麻琴にされてきた事は 皮肉な事にとても参考になった。私は自分の容姿をフルに使い彼女達より上手く立ち回った。
まず先生達を味方に付けた。成績をキープしてたおかげで簡単に私を擁護(ようご)する側に回った。
次に男子。これも簡単だった。"変装" を止めた私が目に涙を溜めて相談すると 手のひらを返した様に私の味方をした。麻琴に騙されていたと憤慨する者までいた。
そして女子。小学校の頃、私はやり方を間違えた。けど今度は間違えない。麻琴の戦術を巧みに使い、少しずつ彼女の取り巻きを剥がしていった。
強いリーダーというのは時に内部に亀裂を生む。彼女のワンマンに辟易している輩を注意深く見つけては近寄った。その頃には男子や先生はこちら側に付いていたので 麻琴に加勢するよりこちらに付く方が得だと思わせるのは容易な事だった。
だいぶ形勢も逆転した。麻琴は相変わらず虚勢(きょせい)を張っていたけど 精神的にかなりまいっているのは明白だった。
後、一押し。
私は最後の仕上げに入った。
麻琴の彼氏を誘い出し、思わせ振りに彼を誘惑した。元々 私からあっさり麻琴に鞍替えした様な男、また落とすのなんか朝飯前だった。
想像通り 彼はその日の内に麻琴に別れを告げた。
私は翌日から麻琴に見せ付ける様に彼と行動を共にした。元カノの前だというのに終始私の前でヘラヘラしてるこんな男のどこがいいのか?
彼女は凄い形相で私を睨んでいたけど、私は余裕の笑みを返してやった。その頃には 麻琴の取り巻き達は ほとんど居なく、何も出来ず無様にもがくのを私は高みの見物で眺めていた。
人間なんて所詮はこんなものだ。
簡単に人を裏切るし、
少数派より多数派に属する方が安心するし、
流されやすいし、
騙されやすい。
私は騙されるより騙す側に居たかった。
もうあんな辛い思いをするのはたくさんだ。
麻琴が私を利用した様に、私も人を利用してやる。
それが賢い生き方なのだ。
最終的に私は麻琴を完全に孤立させた。
そして完全に牙を抜いてやってから 優しく手を差し伸べた。凄く愉快な気分だった。
強者が弱者にかける温情。
それはまさに 強者のみに許された傲慢の証。
麻琴が私に媚びを売ってきた その瞬間、私は完全勝利を手中に納めた。
それから "あの人達" に出会うまでの数年間、私は自分の思い通りの人生を歩んだ。
怖い物なんて 何も無かった。
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