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9話
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なんと言う事だろう
目の前で繰り広げられているこのカオスな空間
一体どう収拾を図れば良いのだろうか
固まる俺に「しょーちゃん良かったね」なんて笑う多喜を見て、あれ?こいつ確信犯か?なんて想像が頭をよぎる
その出来事は芹澤家での夕飯前に遡る
課題を終えた俺は今ハマってるスマホゲームに多喜を強制参加させイベントアイテムを無事入手し、非常に御満悦だった
続きをやろうか悩んでいると早苗さんからの晩御飯コールが掛かり2人でリビングへと降りて行ったのだ
生姜焼きの良い匂いに空腹の胃が刺激された所で既にテーブルに座る信明さんに気付いて挨拶を交わした
多喜の父親である信明さんは多喜とはまた違う美形だ
如何にも出来る上司!みたいな包容力のある雰囲気が格好良いのだ
早苗さんも席に座り、たわいも無い話をしながら夕飯の時間は過ぎて行く
因みに多喜には4つ下の弟が居るのだが今日は友達の家に泊まりに行ってるらしい
生姜焼きを食べ終え残り少ない味噌汁を一気に飲み干そうかとお椀を傾けた瞬間に多喜が爆弾を投下した
「あ、俺しょーちゃんとお付き合いする事になったんだー」
当然の様に味噌汁を喉に詰まらせて咽せる俺の背を多喜は慌てて擦ってくる
しょーちゃん大丈夫?じゃないだろ
お前が大丈夫か?主に頭の方がな
突っ込みを入れたくてもうまく言葉が出て来ない
容易く想像出来る多喜の両親の反応に眩暈を起こしてしまう
背中に触れる暖かい手の感触に涙が出て来そうだ
「まぁ!翔悟君大丈夫?今お茶持ってくるわねー」
先程の多喜の発言を聞いていたのか疑わしくなるほど早苗さんの反応はいつも通りで余計に混乱してしまう
「多喜も嬉しいからと言って翔悟君にちゃんと説明したのか?」
「ううん…後でしようかなーって」
「はいはい翔悟君これ飲んでね」
目の前に置かれたグラスを多喜が持ち上げて手渡してくるので俺は困惑しつつも何とか飲みこみ、咽せていた喉が漸く落ち着きを取り戻した所で早苗さんが更に追い討ちをかける
「それにしても翔悟君!本当にうちの子で良いの?」
「は?え?」
「しょーちゃん眼がクリクリしててかわいいー」
「もう、たーくんったら昔から翔悟君大好きなんだから」
あまり翔悟君に迷惑かけちゃダメよ?なんて嗜める前にこの状況に対する説明をお願いしたい
息子がホモになっちゃってるんですよ⁈
何の違和感もなく受け入れられる話じゃないと思うのに目の前に座る早苗さんも楽しそうで、隣に座る多喜は変わらず笑ってる
俺の困惑を察してくれたのか信明さんが優しく俺の頭を撫でてくれた
「翔悟君大丈夫だよ?私も早苗さんもね、多喜が翔悟君の事を好きな事は以前から知っていたんだ」
「え?それって…」
「多喜が私達に相談してきたのは高校に入学する少し前の事だったよ」
信明さんが混乱してる俺にもよく分かるようにゆっくり説明してくれる
そして多喜は何も言わずに俺の右手をぎゅっと握って笑ってくれるからやっぱり単純な俺は大丈夫なんて思ってしまうのだ
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