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27話
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お昼を食べた後、多喜と2人で良く行く裏庭のベンチに向かう
其処は小さな庭になってて用務員さんが毎日花のお手入れをしてくれてるから季節毎に違う景色を楽しめるのだ
折角綺麗に手入れされてるのにちょっと校舎から離れてるのであまり利用する人が少ないのは残念だけれど、ゆっくり出来るこの場所はお気に入りだったりする
大抵屋上か此処でよく多喜とサボるのだ
木陰になってるベンチで多喜の持って来た雑誌を広げる
俺のセンス如何で多喜の髪型が左右されるので毎回真剣だ
「赤マルは多喜のオススメ?今回は結構切る予定?」
「夏だからバッサリいっちゃいたい気もするんだけど…しょーちゃんが選ぶなら何でも良いかな」
「それめっちゃ責任重大だなー」
「しょーちゃんのセンスを信頼してるから大丈夫!」
「去年結構短めにした事あったじゃん?あれも似合ってたんだよね…」
「前髪横に流してたやつ?」
「それそれ!前髪長めにしてるとやっぱ親子なのか信明さんと似てるよな」
「えー?そうかな…何か複雑」
「親子なんだから仕方ないだろー」
多喜が前髪をいじりながらある意味最大のライバルは父親か…と拗ねてるのが可愛すぎる
「まぁ俺にとっては多喜が1番カッコイイけど…」
小さく呟いた言葉に多喜が耳を赤くしながら笑うのでこっちまで恥ずかしくなる
「笑うなよー!あぁ!恥ずかし!」
誤魔化すように多喜の肩を叩くとしょーちゃん可愛すぎるとか言ってくるから更に恥ずかしくなるんだけど…羞恥地獄に陥りそうだ
「それより…多喜の髪型選ばないと!」
真剣に雑誌を見ている振りをする
暫く雑誌を捲りあるページで手が止まった
この髪型絶対多喜に似合いそうだなぁって眺めてると多喜も一緒に雑誌に視線を落とす
「この髪型良いと思う」
「あぁ!それちょっと気になってたんだよね」
「緩くパーマ掛かってるよね、これ」
「そうみたい…流石に校則に引っかかるかなーって」
「多喜の地毛も緩くパーマ掛かってる様なもんじゃん?」
「天パやだー…しょーちゃんみたいにサラサラストレートが良い…」
「天パって言う程じゃないだろ?てかこの髪型絶対このモデルより多喜に似合うと思んだけどなー」
雑誌のモデルがしてる髪型は少し長めの髪を前下がりにカットして緩くパーマが掛かっている
前髪はサイドに自然に流していて一見中性的な見た目だけれど多喜には文句無しに似合うと思う
「しょーちゃん…俺この髪型にする!」
「良いの?」
「うん!これなら元の天パ活かせそうだし」
「多喜に絶対似合うよ」
「何よりしょーちゃんがそう言うなら間違いない!」
多喜はニコニコしながら雑誌に折り目をつけている
まぁ今の髪型と比べて長さはそんなに変わらないけど多喜も気になってたんなら良しとしよう
「しょーちゃん選んでくれてありがとー」
「んー?どういたしまして」
「髪切り終わったら帰りに本屋さん寄って良い?」
「北海道の観光情報誌買う気だろ?」
「えへへーバレた?」
「俺も欲しかったからな」
母親が買って来た情報誌以外にもどんなのがあるか気になっていたのでちょうど良かった
「札幌市内のオススメスポットが詳しく書いてるの無いかなーって…ちょっと位だったらしょーちゃんと2人っきりでデート出来るかなって」
多喜の言葉が嬉しくて俺も素直に頷いたのだった
暫くベンチでたわいも無い会話をして多喜と教室に戻ると真ん中位に人集りが出来ていて、そう言えば転校生が居た事を今更思い出す自分の間抜けっぷりに呆れた
同じ位俺の中心も多喜で占められているので人の事言えないよなーなんて苦笑してしまう
隣の多喜も人集りを見て「あぁ、転校生か」とか言っている辺り俺と同じで忘れていたのだろう
5、6限目を眠気と戦いながら何とか終えると多喜が鞄を持ってこっちにやって来る
「多喜、最後の古典の時寝てたろ?」
「うん、めっちゃ眠かった」
「かなり船漕いでたからな」
「見られてたの⁉︎恥ずかしー!
あの居眠りした時の体ビクッてなるの3回位やっちゃってヤバかったー」
「月曜の最後が古典とか鬼畜過ぎるわ…子守唄だろ古文とか」
「うんうん…古典の復習しないと今日全く授業聞いてなかったー」
「胸張って言う事じゃ無いけどな」
多喜と話しながら教室から出ようとするとクラスの女子が話し掛けて来た
「芹澤君と篠原君もう帰るのー?」
「そうだよー」
多喜が返事をしたので黙って成り行きを見守る
「私たち今から千夏ちゃんの歓迎会でカラオケ行くの!良かったら二人もどうかなーって」
千夏ちゃんって転校生の事だろうか?
少し離れた場所に女子数人と男子が何人かいる
「そうなんだーでも今から予定あるんだごめんねー
皆んなで楽しんで来て!」
まぁ今から予定あるのは事実なのだが、予定が無くても多喜はたぶん行きたがらないだろうな
「そうなの?残念だなー…また次行こうね!」
女子もあっさり引いてくれたので俺も軽く謝っておく
またねーと言いながら教室に戻って行ったので集団にも挨拶をして帰ると転校生の子が一瞬だけ凄く詰まらなそうな顔をしていた様な…本当に一瞬だったから気のせいかなって思ったけど、なんだか妙に引っかかりを覚えながらも多喜に付いて美容室に向かったのだった
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