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30話
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多喜と文字通り一線を越えてしまった
恥ずかしかったけど後悔とか、もちろん嫌悪感は一切感じてなくて寧ろ安堵感とかより一層多喜を愛しく思う気持ちが増した
日頃の自分からは考えられない位積極的に多喜を誘ってしまった
有り体に言えばもどかしかったのだ
多喜が自分みたいに綺麗でも況してや可愛くもない同性の有り触れた存在に下半身が反応するなんて最初は困惑でいっぱいだった
自分が多喜の立場なら俺みたいな奴に興奮するなんて考えられないし、そもそも付き合いたいとか可愛いなんて一切思いもしないだろう
しかし、多喜は俺を選んでくれた
毎日一緒に過ごす中で多喜が恋人として俺を大事にしてくれてるのはよく分かったし、キス一つするのにも俺を壊れ物でも扱うみたいに優しく触れてくれる
それが嬉しくもありもどかしくもあった
多喜は恋人として何処までなら許されるのだろうかと慎重に自分の行動を制御してる様に感じられたのだ
多喜にそう言う思惑が有ったのかは分からないけれど、キスをする時も必ず「キスしても良い?」と尋ねてくる
俺だって多喜の事が好きだし凄く愛しく感じている
それが伝わる様に自分の気持ちを率直に言葉にしているけれど、友人である時間の長さがそうさせてしまうのか多喜は恋人として触れ合う時には酷く臆病になる
さっきも下半身が反応しているのに多喜はそれを我慢して距離を置こうとしたし、あまつさえ一度帰ろうとした
同じ男だから我慢する辛さも分かるし多喜とそう言う意味で触れ合いたいって思ってるのだ
だから遠慮なんてしてほしく無くてわざと多喜を煽る様な態度を取ったのだ
俺だって同じ気持ちだって多喜に言葉だけじゃなく態度で示したかった
羞恥心はかなり凄かったけど、結果多喜との距離はもっと縮まったと思う
経験なんかお互い有るわけないからぎこちなかったけど、でも多喜が気持ち良くなってくれて嬉しかった
そんな多喜の見た事が無い姿を見れるのも恋人の特権だって思うし、多喜を独り占めしたい独占欲の現れだ
今まで経験が無かったから嫉妬とか独占欲って凄く嫌な感情だって思ってた
自分の汚い気持ちをどう受け止めたら良いのか分からなくてそんな風に多喜に対して感じてしまう事に後ろめたさがあった
だけど多喜と触れ合って感じる安心感とか愛しさを誰かに渡すなんて絶対に嫌だって思った
多喜は俺の恋人なんだって、独占したいんだって気持ちは何も間違って無いって今なら思える
行き過ぎた独占欲は相手も自分も疲れてしまうけど、言わずに我慢するのはもっと疲れる
不安だから嫉妬したりするんだって分かったからこれからはもっと正直に伝えよう
たぶん多喜もそう望んでくれてると思うから
「しょーちゃん、身体大丈夫?辛くない?」
そんな事を考えていると多喜が顔を覗き込んで来た
「ん、平気」
「良かった…しょーちゃん凄く可愛かった」
多喜が凄く嬉しそうに笑ってる
何だか気恥ずかしくて俺は多喜の肩に頭を預けて俯いた
「どうしたの?眠くなった?」
多喜が優しく頭を撫でてくれるのが落ち着く
何時もは俺が多喜の頭を撫でる事が多いから何だか新鮮だった
「眠くないよ…ちょっと恥ずかしかっただけ」
「うん…でもありがとう」
「何が?」
多喜の感謝の意味が分からなくて顔を覗き込む
多喜の目の縁が泣く一歩手前みたいに赤みを帯びていて思わず飛び起きる
「多喜どうしたの?」
泣きそうな姿に狼狽えてると腰にぎゅうっと多喜が抱きついてくる
「今からちょっと情けない話しても良い?」
多喜が抱きついたまま話すから少しだけ脇腹が擽ったくて、だけどそれ以上に多喜が愛しいから先を促すみたいに優しく頭を撫でる
ーしょーちゃんと付き合える様になった時凄く嬉しくて幸せだったけどそれと同時に凄く不安でもあったよ
しょーちゃんとずっと一緒に居たから優しい所とか何だかんだ言って俺に甘い所とか分かってたから…突き放せなくて付き合ってくれたのかなって不安だった
だけどしょーちゃんは俺の不安を吹き飛ばす位真剣に向き合ってくれて、ちゃんと恋人として意識してくれてるのが分かったからそんな風に思ってるのが逆にしょーちゃんにも失礼だって
しょーちゃんの事分かってるつもりで全然分かって無かったって凄く反省したんだよ
しょーちゃんは確かに優しいけど同情なんかで誰かと付き合ったりしないでしょ?
でもやっぱり不安だったんだと思う
もっとしょーちゃんの近くに行きたくて、でも拒絶されるのが怖くて自分から踏み込めなくて
だから今日しょーちゃんが背中を押してくれたのが嬉しくもあり情けなくもあり…そんな複雑な男心でした!
最後はちょっと笑いながら言った多喜の言葉に真っ先に思ったのはバカだなーって感想だった
バカだなーあぁもう本当愛しいなーって自分でもびっくりする位甘い気持ち
まだ腰に抱き付く多喜の頭をぐちゃぐちゃになる位かき混ぜる
「わー!しょーちゃん止めてよー!頭が鳥の巣みたいになっちゃうよー」
「多喜がもう二度とバカな事考えない様にお仕置きですー」
「しょーちゃんごめんなさい!」
そう言って笑う多喜の後頭部に優しく唇を落として撫でると多喜が更にきつく抱きついてくるからやっぱり愛しいなーって気持ちしか湧かなくて、よっちが部活から帰ってくるまでの間2人でくっ付いて恋人的なイチャイチャを満喫していた
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