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恋人がプロを目指すアスリートだと、やっぱ試合なんかが優先だから、そう毎晩は抱き合えねぇ。
だからその分、1回1回を濃厚に、丁寧に、思う存分可愛がってるつもりだ。
その恋人の怜は、向かい合って抱かれる方が好きらしい。
「顔が見たいから」とか可愛いコト言うけど、オレはバックも結構好きだ。
四つん這いにさせた怜の、引き締まった腰を抱えて容赦なく打ち付けると、背中がだんだんネコのように反ってきて、獣のようで、ぞくぞくする。
快感と衝撃に耐え切れねーで布団に伏せ、それでもオレを欲しがって腰だけ高く上げて、甘い声で啼きっ放しな感じになるのも、やっぱり大きな獣みてぇ。
ほら、今も。
「あっ、あん、んん、んーっ」
現役スポーツマンらしい、引き締まった体を朱に染めて、尻を揺らしてる姿はスゲーエロい。
最後は正常位にしてやるか、といっぺん抜いたら、すんげー甘い声で「やだ」とねだった。
「ほら、終わりじゃねーよ。上向け」
これが女なら、ぐったりした体を抱きかかえて裏向けてやる、なんて芸当ができんのかも知んねーけど……あいにく、女には興味ねぇ。
オレはこの、無駄肉のない、引き締まった体を持つ、それでいてスゲー色っぽい恋人が好きだった。
怜は腕を突っぱねるようにして起き上り、自分でゴロンと体勢を変え、オレの望み通りに仰向けになった。
「あ、んん、哲也ぁ」
甘ったるい声を上げ、怜はオレの首に腕を巻き、自分から足を広げて挿入を助けた。
プロ目指して頑張って体作って、アスリートっぽい外見してるけど。セックスの時はいつまでもオレに甘えてて、スゲー可愛い。
貫かれる瞬間は、喉を仰け反らせて息を漏らす。
オレの名前呼んだり、「好き」っつったり。セックスの最初はずっと騒がしいのに、だんだん快感に負けて、何も喋れなくなっちまうのも、いつも思うけどスゲー好きだ。
けど、TV越しに見るコイツの雄姿も好きだ。
TVの前から、または野球場のスタンドから、コイツが投げるたびきゃあきゃあ言ってる女どもは、怜が普段どんな顔で、どんな声で、男に抱かれてっか知らねーんだろうな。
もっとも、それはオレだけが知ってりゃいーことだ。
オレは今も、この先も、この恋人の色っぽい姿を誰にも見せるつもりはなかった。
1試合分の汗をかいた後、ゆっくり息を吐きながら、ゴムの根元を押さえて怜から出る。
「ん、あ……」
ほとんど気絶してたくせに。抜こうとすると名残惜しげに絡みつかれて、苦笑する。
ゴムの処理をして、うとうとしてる怜を胸に抱き寄せると、怜が薄く目を開いた。
「あ、そうだ、哲也……」
「んー? 何だ?」
「来週、一週間だけ……オレと別れて……下、さい……」
そう言って、怜はそのまま、すうっと安らかな寝息を立てる。
一瞬、何を言われたのか理解できなくて、怜に腕枕してやったまま、天井を見上げた。
一週間だけ……何だって?
「はあー!?」
オレはカッとして、怜の下から腕を引き抜き、馬乗りになって、ガクガクと肩を揺らした。
「てめっ、どーゆー意味だ、コラ! 説明しろ!」
けど、怜はうるさそうに「うーん」っつーだけで目を開けねぇ。
起きる気ナシか!?
ちっ、と舌打ちして、今度は軽く両頬を叩いてやる。
「起きろ、コラ、怜!」
すると怜は半眼を開け――もぞもぞと向きを変えてオレにすり寄り、また寝息を立て始めた。
「おい……」
はあーっ、とため息をつく。
疲れさせたんはオレかも知んねーけど、寝んの早過ぎんだろ?
けど、コイツはこうなったらもう、絶対朝まで起きねーし。謎の爆弾発言の真意は、明日の朝、じっくり訊き出すしかなさそうだ。
「別れる」とか……。
言われた方はダメージ大きいっつの。冗談でもやめて欲しかった。
けど残念ながら、朝起きたら怜はもういなかった。
怜はプロを目指し、大学で野球をやってる。朝練もあるから、いつも早起きだ。
普段はアイツの起きる気配でオレも目が覚めるから、一緒に朝メシ食ったりもするんだけど。今日は起きらんなかったみてーだ。
時計を見れば8時前。
ちっ、行く時に起こせよな。心の中で勝手なことを考えながら、ベッドから降りてキッチンに行く。
ダイニングテーブルには、怜が用意してくれた朝メシがあった。おにぎりと、ベーコンとほうれん草の卵とじ、プチトマト。
行儀悪ぃけど、立ったままおにぎりを掴んで、頬張りながら今日の着替えを用意する。
卵とじを掻き込み、咀嚼しながら靴下をはいて、最後にプチトマトを口に放り込む。
今日は月曜、授業は9時から。
うちの玄関から大学の教室まで、所要時間平均30分――。
素早く計算しながら、ロンTを引っかぶる。
歯磨き済ませりゃギリギリの時間で、オレは鞄持って鍵閉めて、駅までの道を小走りで行った。
いつも通りの朝の始まりだと……このときはまだ、思ってた。
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