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31話※伝えたい side 時雨
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薄らと汗ばみ、手の平へ吸い付いてくるような触り心地の良い肌を堪能するように、ゆっくりと撫でていく。
それだけで小さく肩を跳ね上げ可愛い反応を見せてくれるトキちゃんに、俺の顔にはきっと底意地悪くて厭らしい笑みが浮かんでいるに違いない。
幼い頃から、人の前じゃ負けん気が強くて意地っ張り。
自分のことは基本的に後回しにして人にばかり気を遣うトキちゃんが、こうして俺の前でだけは全てをさらけ出す。
その姿はとても可愛くて、堪らなく愛しくて。
庇護欲を唆られるのと同時に、残虐で凶悪な加虐心をするりと引っ張り出されそうになる。
本当なら二人一緒に楽しくベッドの中へ潜り込んで、俺がトキちゃんの体に悪戯してエッチな方向へ持って行く予定だった。
それなのに、結果は概ね同じであってもそこへ辿り着くまでの行程があの糞眼鏡のせいで狂ってしまった事は大変遺憾で腹立たしい。
トキちゃんの泣き顔は大好きだし、なんならもっとぐちゃぐちゃに泣かせたいとも思う。
頑なに我慢していたトキちゃんを強制的に泣かせたのは俺だけど、トキちゃんが泣く事になった根本的な原因は二条の家に住んでる胸糞悪い連中のせい。
本当に、心の底から目障りだ。
なにより気に食わないのは、俺以外の人間がトキちゃんを固く縛っているということ。
パーティー会場で確認したあの家の連中の顔を思い出すだけで、どろりと真っ赤に溶けた灼熱の鉄みたいな怒りや殺意が体の奥底から込み上げて爆発しそうになる。
自分にとって利用価値があるのか、ないのか。
人と関わって俺が大きく抱く感情は基本的にこの二つだけ。
だけど何事にも例外はあって、俺にとってその一つがトキちゃんだ。
トキちゃん自身と、トキちゃんに関係する事に対して、俺は物凄く感情的になる。
常日頃から薄っぺらな紙を顔へ貼っつけているような作った感情なんかじゃない、狂気と言ってもいいくらいに凄まじい本物の激情。
俺はトキちゃんを本気で欲しているし、執着している。
トキちゃんが泣いたり怒ったり、喜んで笑ったりするのも全部、俺の為だけでいい。
人と関わっている限りそれは難しい事だって理解はしているけど、誰の目にも触れないよう二人だけの空間に閉じ込めて、俺の事しか考えられないようになって欲しいというのが嘘偽りない俺の心からの願望。
だから今もこうして、体の芯まで蜂蜜を漬け込んでいくみたいにどろどろに甘やかして、俺無しじゃ生きていけない、俺だけが欲しいと思えるように依存させていく直接的な行為は、心底興奮して堪らない。
「ぁっ、ん……し、にぃっ」
「俺に首筋噛まれて気持ちいいの? トキちゃん」
「んっ、気持ちい、ぃっ」
熱に浮かされ水飴みたいに蕩けた赤茶色の瞳。
艶やかな声をこぼす熟れた苺のように赤い唇。
流れる涙も、濡れた睫毛の一本だって、トキちゃんを象る全て心も何もかもを俺のものにしたい。
その為に、一緒に生活していた幼い時から俺は、愛情という名の甘やかな猛毒をトキちゃんへ仕込み続けてきた。
学園の門の前で再会してからずっと、スキンシップをとりながらトキちゃんの様子を観察して気付いてはいた。
確信を得たのは、俺からのキスを拒むことなくあっさりと受け入れてくれた時。
語り合う事も触れる事も出来なかった四年という年月の間、俺の仕込んだ猛毒は消え失せることなく着実にトキちゃんを侵蝕していた。
例えるならそれは、真っ白な紙の端から闇色のインクがゆっくりと滲んでいくような感じに似ているのかもしれない。
「はっ、ぁ」
「ごめんねトキちゃん、ちょっと強く噛み過ぎちゃったみたい。痛い?」
「大、丈夫っ。気持ちいい、からっ、へーき」
「ふふっ、本当に気持ち良さそうだね。やっぱりトキちゃんは痛くされるのが好きなのかな?」
「ちが、っぅ……しぃ兄、だからっ。しぃ兄じゃないと、気持ちよく、ない、ぁっ」
「そっか、俺がするから良いんだ。ほんとトキちゃんは可愛いなぁ」
そして俺を煽って本気にさせる天才だ。
無防備にさらけ出された首筋に出来た噛み跡から、薄らと血が滲む。
トキちゃんの肌を赤く彩るそれを舌先で舐め取りながらパジャマを捲り上げて、美味しそうに先を尖らせた乳首を軽く捏ねると艶かしい嬌声が俺の鼓膜を刺激した。
「っぁあ、ゃ……しぃにぃ、まってっ、胸っこね、っないでぇ」
「どうして? こうやって指でぐりぐりされるの嫌?」
「ひぅっ、ぁっ。ち、がっ……俺、男なのに、胸っきもちよくて、っ変、なりそ、だからっ」
気持ち良すぎて恐いんだと濡れた瞳で語りながら、与えられる官能を必死になって逃がそうとするトキちゃん。
その姿はとても艷麗的で、背骨に通う神経を直接撫でられたような刺激がゾクゾクと俺の欲情を駆り立てる。
「トキちゃんは本当に感じやすいんだね」
「なっ、ぅあっ……し、にぃっ、耳っなめんの、だめっ」
「舐めちゃダメ? それじゃあ甘噛みは?」
俺の唾液で卑猥に湿った軟骨の部分を口に含んで、犬歯を緩く突き立てる。
下顎を微かにスライドさせて擦るように食感を楽しめばトキちゃんはひくりと咽を痙攣させ、力が入って強張った体をほんの少し縮こめた。
「あっ、ぁあっ、む、りぃ。しぃにっ、頭、しびれ、るっ」
ダメだ無理だと可愛く囀り抵抗はするけど、嫌だと拒否をしないその態度がどれだけ俺の理性をぐらつかせているのか、トキちゃんはわかっているのかな?
耳と胸を弄られただけで息が絶え絶えになっているその淫らな体に今すぐにでも貪り衝いて、はち切れんばかりに滾った俺の欲望の塊を突き刺したい。
内臓が抉れてしまうと泣き叫ぶトキちゃんの肉壁をめちゃくちゃに掻き回して、ひたすら善がるその声が枯れ果てるまで攻め立ててしまいたい。
精を全て吐き出して身体中どろどろになったトキちゃんの中へ俺の精を全部注いで、好きだよ、愛してるって気持ちを真っ直ぐキミに伝えたい。
二条の連中とあの糞ったれな暴力男がトキちゃんの心に巻き付けた、憎たらしくて無駄に頑丈な太い鎖。
それを取り除くまで、今はまだ全てを叶えることは出来ないけれど……。
トキちゃん、キミは俺に自分をもっと求めて欲しって言ったけど、それは俺も同じなんだよ?
もっと俺を求めて、俺を欲して、俺が与える愛情という名の猛毒に犯されて、俺みたいに狂ってほしい。
そんな事を考えただけで脳が焼けていくような熱を持ち、ただでさえ興奮している体が更に昂っていくのがわかる。
指先で厭らしく舐めるように俺が肌を撫でれば、僅かな官能をしっかりと拾い上げ悦ぶ敏感な身体。
感じやすいんだね。なんて意地悪く口を衝いたけど、そう仕込んだのは俺でしょ? と、もう一人の自分が真っ黒な胸の中残忍な顔でほくそ笑んだ。
「まだ直接触っていないのに、ここは凄く苦しそうだね」
パジャマの布を窮屈そうに押し上げているトキちゃんの性器。
その形を強調するように、俺はゆっくりと布の上から指先を這わせていく。
「なっ、んぅ……っぁ、し、にぃっ」
「ねぇトキちゃん、俺にどうして欲しい?」
絶えず流れ続け、薄紅色に火照った頬を濡らす涙を舌先で優しく掬い取る。
唇が触れ合いそうになるほどの至近距離まで顔を近づけ、わざと蠱惑的な微笑みを浮かべた俺は緩く首を傾げて、熱の籠る目でトキちゃんの瞳をじっと見つめた。
「っ、し、にぃの、いじわるっ」
「今の俺には褒め言葉だよ」
「どっして、欲しぃっ、か……わかってる、っ、くせにっ」
「わかってるから、俺はトキちゃんの口から直接聞きたいんだけどな」
ここ、このまま放置しちゃっていいの?
山形に盛り上がったその天辺に指先を置いて、鈴口部分を押すようにほんの少しだけ力を込める。
小さな円を描くように指先を動かせば卑猥な水音が布を通して微かに耳へ届き、俺は思わず自分の下唇をペロリと舐めた。
この布の向こう側はきっと、トキちゃん先走りで溢れているんだろう。
少し想像するだけで、背筋がゾクゾクと痺れて堪らなくなる。
「ひぁっ、ぁ、しぃにっ、まっ、いじわ、るっ……しなぃ、でっ」
思わぬ突然の刺激だったのか、俺が指先を動かす度にトキちゃんは大きく肩を跳ね上げ甘い嬌声をこぼしていく。
そんな色っぽくて可愛いトキちゃんの姿に、俺の欲と熱も溜まっていく一方だ。
「ほんと可愛い、可愛すぎる。いっそこのままどこまで我慢できるか、試してみるのもありかな?」
「っなん、でっ、そぉなっぅ、ん、ぁっ」
「トキちゃんが可愛くて仕方ないからだよ」
再びトキちゃんの耳を甘噛みして、飴を舐めるように舌を這わす。
それと同時に小さく存在を主張している乳首も弄っていき、素直に体を震わせるトキちゃんの反応につい何度も意地悪な笑みが顔に浮かんでしまう。
「はっ、ぁあっ! ……っし、にぃ、それっ、だめっ。も、さわって……俺の、さわって、イかせてっ。しぃにぃ」
片方ずつだけでも充分に感じていた刺激が二つ一遍でやってきた上に、あまりにも敏感過ぎる自分の体にどうしていいのかわからなくなったんだろう。
恐い助けてと顔を歪め「しぃ兄、しぃ兄っ」と俺の事を何度も呼びながら縋り付き、自ら腰を押し付けて早くイキたいと懇願するトキちゃんの可愛さが本気でヤバイ。
俺の背中に腕を回し、腰を両膝で挟んで、俺のものと自分のものを布越しで擦り合わせるように動いてるのは無意識なの? わざとなの?
体の奥から熱が吹き上げてくるみたいに体温が上がって、俺のこめかみに薄らと汗が浮かぶ。
堪らず俺はトキちゃんを持ち上げて、所謂対面座位の姿勢になってその体をぎゅっと強く抱きしめた。
自分で決めた事だから自業自得だとわかっていても、こんなにも可愛く性的に俺を求めてくれてるトキちゃんの中へ入れない事は本当に残念で心底悔しくて、血の涙を流したくなるくらい凄く辛い。
俺を呼ぶトキちゃんの声も、暖かな温もりも、伝わってくる気持ちの何もかも全てが愛しくて、溢れて止まないこの感情に俺自身が潰されそうだ。
「しぃ、に? っぁ、ひぁっ!」
「上手におねだりしてくれたから、トキちゃんのここ、触ってあげる」
顔に張り付いて邪魔な髪を一度乱雑に掻き上げてから、俺はトキちゃんが履いているパジャマと下着へ手を伸ばし纏めて一気に引き下げる。
切なげに透明な蜜をこぼすトキちゃんのものをそっと手の平の中へ納めるが、やんわりと包むだけで動かしはしない。
「ここ、物凄く厭らしい蜜がいっぱい出てきてぐちょぐちょに濡れてるね。ほら、わかる?」
「あっ、ぁあっ。て、なんっでぇ……しぃにぃっ、おねがっい、だからっ」
「ん? 手、動かして欲しいの?」
意地悪な俺の問いかけに、素直に頷くトキちゃん。
何度も俺を呼んでお願いだからと口にするその姿に、俺もそろそろ溜まった欲を吐き出したい気持ちが強くなってくる。
目の前に差し出されている鎖骨に舌を這わせ、鬱血痕が残るよう強く吸い付く。
その工程を繰り返しながら空いているもう片方の手でトキちゃんの後頭部を掴み、自分の方へ引き寄せた。
耳の下まで移動したら一旦唇を離して、瞳に宿っているだろう狂気を隠す事もせず小さく笑みをこぼす。
耳孔を塞ぐよう隙間なく唇を押し付けて、トキちゃんを求めて止まない欲望と熱を抑え込んで凝縮させた、誰一人として聞かせた事のない劣情を煽り立てる吐息混じりの声で一言、俺は低く囁いた。
「──淫乱だね?」
「〜っ、ぁ、ぁああっ!」
俺にしがみつていたトキちゃんの体が一層大きく跳ね上がり、白く濁った欲が勢い良く吐き出され顔の一部に飛び掛る。
手を動かす前に達したという予想外の反応に少し驚きながらトキちゃんを見てみると、本人も予想外らしく大きく目を見開き驚愕していた。
「トキちゃん?」
「ま、まって。ちょっと待ってしぃ兄。これは、その、しぃ兄の声が余りにもエロ過ぎて、じゃなくて、いや、そうなんだけど……俺も自分で驚いてるってか、まって、ほんとまって、マジでまって。恥ずか、し、過ぎて……っ」
顔を両手で隠し、全身を真っ赤にしながら焦って離れようとするトキちゃんを抱き寄せる。
閉じている両手を強引にこじ開けて視線を合わせる為に覗き込むと、恥ずかしさのあまりぽろぽろと涙を流すトキちゃんがそこに居た。
「俺、体が、勝手に……っ。しぃ兄、嫌わないでっ。こんな、淫乱だって自分でも、知らなくてっ」
「ごめんね、俺が苛め過ぎちゃったせいでビックリしたね。大丈夫、俺がトキちゃんを嫌うわけないでしょ? むしろ嬉しい、と言うか、色々ヤバイ……かな?」
主にここが。
泣いているトキちゃんの目尻にキスをしながら、俺は昂ったままの自分の性器をトキちゃんのお尻に押し付ける。
布越しからでもハッキリとわかるくらい硬くなっている俺のものを感じて、トキちゃんの顔がまた一つ赤くなり俺の興奮は冷めるどころか酷くなっていく一方だ。
正直ここまで敏感に反応してくれるとは本当に思ってもいなかった。
さっきからトキちゃんの態度が可愛い過ぎて愛おし過ぎて、頭が変になりそうだ。
「トキちゃん、可愛い。ほんと可愛い。可愛い過ぎだよっ」
「しぃに、ん……んんっ」
好き。大好き。愛してる。
まだ伝えられない気持ちをせめて形に出来る言葉に変えて、それでも衝いて出そうになる思いを唇を重ねる事で塞き止める。
トキちゃん。俺がキミにどれだけ執着しているか、どれだけキミを求めているか、どれだけキミを思って、愛しているか。
これで少しは、教えられたかな?
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