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あの後、抱き合った格好のまま皐月の話を聞いた。落ち着いてゆっくりと聞けば皐月は恥ずかしそうに、それでも怒る事も黙り込む事もなく、俺が聞いた事に対して答えてくれた。
なんでも、はっきりと俺への気持ちに気づいたのがあの手当てをし皐月の服を捲った日がきっかけだったらしい。驚きと羞恥で咄嗟に突き飛ばしてしまったのだと言っていた。そこから変に意識してしまい、またそれを友達に相談したところ恋だ愛だの言われたらしく、また余計に意識し避けてしまった。そんな負のスパイラルに嵌ってる時、思考回路が割と純情乙女な皐月は避けてしまう自分の情けなさと、また俺が皐月を好きになる訳ないという叶わない恋ということに思わず泣いてしまったらしく、あの日俺が見た涙はそれが理由だった。
部屋を移動する理由を聞けば、恋心を意識してしまってからは俺との共同生活が辛く、気まずいままでいるならいっそ接点を切ってしまおうと泊まり込んでいた友達の部屋へ移動を決めたらしい。友達の名前が出た時に抱き締める腕の力が少し強くなってしまったのはしょうがない。皐月が恥ずかしそうに男だからムラムラもする、と告白してくれた時の俺の様子はご想像にお任せする。
と、まあその赤らめた顔につられて俺も顔を赤くしてしかもムラっときてしまった訳だが、密着した身体、皐月が気づかない訳もなく、けれど病人だから寝ろ!と急に元気になって立ち上がり布団に戻された。でも、俺はその時見えた皐月の発言とは裏腹に瞳にうっすらと涙を浮かべて真っ赤になった顔を忘れない。
***
それ以降、皐月の部屋移動の話も無くなり、恋人という関係に落ち着いた俺たちは若干の恥ずかしさに気持ちをどこか浮つかせながら、それでも前と変わらず過ごしていた。
「ねえ!さっちゃん!さっちゃん!」
「うっせえな…なんだよ」
「じゃーん!」
ご飯もお風呂も終えてまったりした時、俺はネットで借りたDVDを皐月の前に出した。それを見た瞬間嫌そうな顔をして部屋に戻ろうとしてたけれど、慌ててその腕を掴んで止めた。
「お前の事だからまた変なホモエロアニメだろ!」
「違う!違うって!それも借りたけど別のも借りたの!!」
以前皐月がいる時DVD観ていいかと聞いたとき、許可が下りたから遠慮なくとあるマンガのOVAを再生したところブチ切れされた事がある。確かにOVAだからやり切った感があってマンガ通りの展開とエロさがあった。そういうもんは誰もいない時自室でイヤホンして見ろ!ってAVを見る時みたいに言われた。OVAはAVじゃない!と軽く口論になったのが懐かしい。
「ほらこれ!この前見たがってた映画だよ~一緒に観ようよ~」
「…………観る」
皐月の大好きな動物ものの、感動系のやつ。公開された時すごく観たいという顔をしていた。口にしてないし素っ気ない仕草してたけど、あれは絶対観たいと思っている顔で、レンタルが開始されていたから皐月が喜ぶかなと下心を抱きつつ、借りた。
案の定食いついてきて、DVDをセットしソファーに腰掛け隣をポンポンと叩くと、そっと隣に座ってくれた。距離が、今までと違う恋人の距離で、少しだけにやけてしまう。
映画もクライマックスになると、隣から鼻をしきりに啜る音が聞こえてきた。俺は少し手を伸ばしてティッシュを取り、出もしない鼻水をかみながらさりげなくティッシュの箱を目の前に置く。皐月は泣いてる所を指摘すると恥ずかしくて怒るから、そっとティッシュを差し出すのが俺の役目だと勝手に思っている。やっぱり、涙を見るならこういうのがいい。悲しくて、辛くて、俺が知らないとこで、俺が理由も知らず泣いてるのは胸が苦しい。
「っあー、終わったー感動したね」
「………おう」
テレビの電源を落とす。静かな部屋、隣にはぐずぐずと鼻をかんでいる皐月。涙を隠すようにティッシュで拭っていた。
「目、擦ると赤くなっちゃうよ」
必死に拭っていた手を攫う。そうすると皐月は驚いてこちらを見てくる訳で、俺とバチリと目が合った途端に顔を真っ赤にして顔を逸らした。
それまでの雰囲気がガラッと変わった。今までは映画をただ見ていた普通の空気だけれど、今は恋人同士に流れる甘い空気。
皐月の手を取ったのはわざとだ。この空気に持ち込みたかったから。想いが通じたあの日からキスは何回かした。ちょっとえっちなキスも。だけど、それ止り。俺だって男、色々したいんです。いっぱいいろんな事妄想した。童貞だけど、知識はいっぱいある。経験はないけど。
「皐月、こっち向いて」
「い、やだ…」
片足をソファーの上に上げて身体ごと皐月に向き合う。
「なんで」
「だ…だって、なんかお前…えろい顔してる…」
「…まじか」
そんなに欲求不満そうな顔してるのか。恐るべし童貞パワー。余裕がない。
「……正直に言いますと…俺は皐月を抱きたいと思っています…けどもし皐月が抱かれるのは嫌というなら、心を決めて俺は皐月に抱かれようと思っていますまあそうしたら一生童貞な訳だけど20歳過ぎても童貞だと妖精だか仙人だかになれるらしいしまあそれもアリかななんて思ったりつまり皐月はその辺どのようにお考えでしょうか…」
畳み掛けるように言うと皐月は顔をこちらに向ける代わりに俺に握られていた手をぎゅっと握り返してくれた。
「……俺は、自分よりタッパのある奴を抱こうなんて思わねえよ」
「そ、それはつまり…!」
「それに…お前とならなにしても、その、気持ちいいだろうし…」
「~~っ、皐月!」
なんて健気でかわいらしいのでしょうか。そんな事いう不良がこの世の中にいますでしょうか。髪の毛金色で目つきもキツくて口も悪い、それなのにとてもかわいい。もう胸いっぱい。
飛びつくようにぎゅうっと皐月に抱きついたら、勢い余って押し倒してしまった。
「かわいい、かわいい、かわいい!」
「も…うっさいわ!」
「客観的に見ても主観的に見てもかわいいよ!萌えだよときめき!トゥンクトゥンク!」
「キモイキモイキモイ」
皐月が顔を背けた。そうしたら真っ赤な耳が目に入って、気づけば思わず口を寄せていた。
「…う、わっ!」
耳の淵を甘噛みするとコリコリとした感触が返ってきた。皐月がビクリと肩を上げて、そして手も上がったけれどそこは慣れであらかじめ握って封じていた俺さすが過ぎ。
マンガとか小説とかではよくある耳舐め。穴にも舌を差し込んで触感も聴覚からも犯すっていうのはよくあるしちょっと興味あるけど、差し込んでどうしたらいいのか分からないからせいぜい淵などを舐めたり噛んだり、また耳の裏の方で思いっきり息を吸い込んで匂いを嗅ぐ事くらいしかできなかった。
「う、あ…ちょっ、颯っ!」
「んー?」
「俺は嫌だかんな!や……やるならちゃんと、ベッド行きてぇ…」
最後の方はもう呟くようにか細く、目を泳がせて言う皐月はこの世で一番かわいいと思う。動画に撮りたかった。
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