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翌日の朝、部屋から出てこないので見に行くと、ベッドの毛布はこんもりと膨らんでいて、皐月が体調悪いのかと軽く揺さぶりながら聞くと、鼻の詰まった声でぼそぼそと休むという返事が返ってきた。
それからずっと、ご飯も風呂も入らずに布団の中にこもっている。
「おい颯、メシ食わねえと死ぬぞ。あと風呂も入れ、いつまでもメソメソメソメソしてんじゃねえよ」
「そんな元気ない……」
颯太のその言葉にぶつりと、皐月の堪忍袋の緒が切れた。
「うっっっっぜぇな!!!いい加減にしろ!!」
ミノムシのごとく包まっている颯太の布団を全力で引っぺがす。もちろんそこには数日前にみた幾分かヨレヨレの紺のスウェットをきた酷い顔の颯太がいる。いきなりの事に脳が追いつかず、目をパチクリとさせる颯太をいいことに、皐月はその腕を掴んで無理やり部屋から出した。向かう先はひとつ、風呂場である。
皐月は風呂場へと繋がる脱衣所に颯太をまるでもののように投げ込むと、勢いよくスライド式のドアを閉じた。
「その汚ぇ顔どうにかしろ!!」
「え…ちょ、皐月!」
閉ざされたドアは颯太が開けようとしてもガタガタと揺れるだけで開くことは無かった。皐月が反対から逆方向に力を働かせているのは一目瞭然。
切れた時の皐月は一筋縄ではいかない。とても意思が堅くなる。颯太ははぁ、とひとつため息を吐いた。
ふと横の洗面台の鏡に映る自分の顔を見る。しくしくと涙を流していたせいか、確かにどことなく覇気がなく情けない顔をしていた。颯太はまたため息を吐いて仕方なく自分のスウェットに手をかけた。
***
シャワーの音を確認した皐月は、怒りもそのままに再び颯太の部屋に戻り敷き布団掛け布団、そして枕のシーツを剥がす。苛々を隠すこともせず廊下をドスドスと歩き、洗濯機にシーツを投げ込んで回す。また颯太の部屋に戻り窓を開けこのジメジメと辛気臭い空気を一刻も早く無くしたいと換気をした。そしてついでに天気がいいからと布団を干す。まるで母親のような手際に自分でも笑いながら昼食の準備に取りかかった。
お腹に優しいものがいいだろうと、冷蔵庫の中身と相談する。煮込みうどんにしようと決め、必要な材料を取り出した皐月。料理は割と好きな方だ。上手い下手は別として、自分の作ったご飯を食べて笑ってくれると嬉しい、ついでにおいしいとおかわりしてくれるともっと嬉しいと思っている。それを以前ぼんやりと濁しながら言うと、彼は息を荒くしながら「オトメン不良メシウマです!!!!」と訳の分からない事を叫ばれた事がある。
***
「お、まっ…!なんて格好してんだよ!!」
「皐月がそのまま押し込んだんじゃん?」
烏の行水のごとく5分もしないうちに出てきた颯太は、あろうことか腰にタオルを巻いただけの姿で出てきた。確かに手ぶらでその状況は当たり前なのだけれど、それでも皐月はその格好を指摘しないことはできなかった。
「早く服着ろ!」
じろじろと見たいような見たくないような、どうも身体を繋げてからは颯太のカラダを見るのが恥ずかしいと感じてしまうようになった皐月は、その感情を誤魔化すようにして颯太に怒った。
はいはい?、と間延びした返事を寄越す颯太。知らぬ間に顔に熱が溜まってしまった皐月はぐっとコップ一杯の水を煽った。
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