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44 過去編 優side
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「うまくいったな。これで、あいつも幸せになるよ。」
「ガタッ」
僕は、力が抜けてその場に崩れ落ちた。
今更、自分がしたことを自覚した。
「あっ…、僕、ぼ、くは…」
「大丈夫だよ!そんなに心配しなくたって。
あいつも、お前がいなくなったら幸せになれるから。」
意識を失ったまま動かなくなった慎一お兄さんは、苦しそうな顔をしていた。
慎一お兄さんが帰って来たら、お義父さんは部屋に隠れて見守り、僕は慎一お兄さんの飲み物に混ぜて睡眠薬を飲ませて、眠った所で、僕が姿を消す。
そういう計画だった。
慎一お兄さんが家にいる間に出ていくことと、最後にもう一度一緒に食事をすることが僕が出したついていく条件だった。
このまま止まっていたら、いつかはお義父さんの借金を慎一お兄さんに払えなんてことを言わないとも限らない。
それ以上に借金を取り立てに、その手の人たちが来るなんてこともあるかもしれない。
そんなことは絶対にあっちゃいけない。
だから僕は出ていくことにした。僕がいなければ慎一お兄さんは幸せになれる。
僕がしてあげられる、せめてものこと。
だったはずなのに…。
なんで今僕は、涙を流しているんだろう。
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