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「とりあえず、そこに座ったらどうだ?」
優の部屋に連れて行くのはためらわれ、かといって俺の部屋に入れるのも違うような気がしたから、今はもう離れて暮らしている、弟の圭介の部屋に連れてきた。
今はもう思い出の一つにもなっているけど、なんで圭介があんなことをしたのか、未だに理解できない。
あんなことがあったせいで、俺も優にひどいことをしてしまった…。
あの時は、「奴隷を買う」ということがどういうことかまだちゃんとわかっていなかった。
じゃあ今はわかっているか、っていうとそうでもなくて…。
今でも優を見てると、主人としてまだまだ未熟だって思い知らさせる。
いろんな思い出が混ざり合った部屋に、また一つ「69番」という出来事が増えてしまった。
そんなどうでもいいことに使っていた思考回路を切断して、未だに一言も話さない69番を視界に入れた。
伏せ目がちな長いまつげの下にある死んだ魚のような目をしている、綺麗な顔立ちの美少年。
なにを考えているのか、そもそもなにも考えられないように躾られているんじゃないかと疑いたくなるほど、彼は自発的な行動が少ない…いや、無に等しい。
この沈黙をなんとかしたいものの、なにからどう話しかけていいのかわからず、結局、いつものように無愛想に
「飲み物どうする?紅茶にするか、コーヒーか、どっちがいい?」
なんて、ありきたりなことを聞いてしまった。
彼も彼で、普通に自分の意見を返事すればいいのに、うつむいたまま、ただ黙って首を縦にふることしかできないかのように、頷いている。
優の話を聞くのは、前途多難なようだ…。
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