アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
次の日目を覚ますと、僕はベッドに居た。
「…あ、れ?」
確か昨晩は酔っぱらって眠ってしまった隆哉と床で寝ていたはずだ。隣に隆哉はいない。
「あれ?」
「…はよ」
寝室から出ると、元気のない、顔色の悪い隆哉がマグカップを二つ持ってキッチンに立っている。
「僕がやるから!隆哉は座って」
急いでキッチンへ行き隆哉の手からマグカップを奪うとそれを一度置き、隆哉をダイニングテーブルの椅子に座らせた。
「直ぐに用意するから。水は?」
「…貰う」
用意している間に隆哉の前に水の入ったグラスを置くと、隆哉はそれを一気に飲み干した。
「もっと要る?」
コーヒーより水の方が良いのではないかと思ったけれど、隆哉は首を振った。
「コーヒー飲むから、要らない」
コーヒー好きだもんな、と納得しながらマグカッブを隆哉の前に置く。
「…お前は?」
「あ、うん」
僕の分のマグカップも持って来て、椅子に座った。
「大丈夫?飲んだら寝なよ」
「…お前と飲みたかったんだ」
「え?」
隆哉はマグカップを口に運び一口飲んだ後、僕をじっと見つめた。
「お前の作った飯、一緒に食えなかったし、コーヒーくらいは一緒に飲みたかった」
僕は昨晩の隆哉の言葉を思い出していた。
「…どうして?」
隆哉に何を言わせるつもりなのだろう、はっとなり、恥ずかしくて俯いてしまう。
「お前の作る飯が好きだから。お前と一緒に、いたいから」
顔を上げられない。見なくても自分の顔がとんでもなく赤くなっているのが分かる。
「飲んだらもう一眠りするぞ」
僕は真っ赤になった間抜けな顔で、隆哉を見る。
「…お前もだ」
目を逸らさず僕をじっと見返す隆哉の顔は無表情なはずなのに、どこか嬉しそうに見えた 。
コーヒーを飲み干すと、隆哉は僕の手を引きベッドに入った。手を放してくれないから僕も一緒にベッドへ入る。抱き締められ、僕の心臓はありえない程、激しく動き出す。居候を始めてからずっとベッドで一緒に寝ているけれど、こんな風に抱き締められて眠るのは、大谷君と別れた日以来だった。
隆哉は友達、僕がゲイでも変わらず傍にいてくれた大切な友達のはずなのに。
生まれたばかりの想いに僕はただ戸惑っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 10