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24話 気にくわない
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山本の家に帰る気分にはなれなくて、俺はボーッとしながら歩いていた。
先輩の泣いてるところ、見たくなかった。
抱き締めたくて、俺が包んであげたくて…
この想いを偽れなくなってしまう。
「咲良」
俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げる。
「…なんか用?安坂」
「話がしたい」
「用事があるって言っただろ」
「俺にはそう見えないが」
「…っち」
今だけはコイツの事は見たくなかった。
先輩の好きなやつ、泣くほど好きだって思われてるやつ、それなのに…
それなのに、ずるいだろ…っ
「そんなに嫌いか、俺の事…」
「…べっつに」
本当はぶん殴りたいぐらい、大嫌いだけど
「咲良」
ああ、ほらその呼び方。
「…なに」
「俺を見てくれないか、咲良…」
気にくわないんだよ。
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