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第3話
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彼が湯呑みを手に取り一口飲んだ。じっと見守る。
次かな?
また、一口。
次こそ、葛饅頭?
また、お茶を一口。
次は、葛饅頭だろ。
湯呑みが、ちゃぶ台へ置かれた。さっきから、彼と皿を交互に見てる。もう、気が気じゃない。
ちらりと、彼は葛饅頭の皿を見る。
いよいよ、葛饅頭か…やっぱり赤い傘は先に食べる?俺は最後に取っとく派。
さあ、どうする。
「キャップ外していいか、」
「え?」
葛饅頭で頭がいっぱいだったから、あんまり聞いてなかった。
彼が、頭を指差す。
キャップ?
彼は室内でも被ったままだった。なんで許可を得ようとするのかわからない。
「どうぞ、」
彼がキャップを脱ぐ。
その下から黒髪が現れる。トップは多少長めで一見普通。サイドの髪が短い。特に左側…あれ?なんだろ、所々に地肌の白が見える。
「っ!」
蜘蛛の巣。ギョッとして、ビクッとした。
俺は左サイドに視線が釘付け。これってなんて言うの、バリアート?彼の左サイドにだけ、白い蜘蛛の巣の模様。そこにトップの髪が少しかかってる。
格好良い。だけど…。
見た目は、俺より年下なのかなと思うんだけど。で、でも…、ヤンキー?
もやし炒めが、頭をかすめる。
「一人暮らし?」
「あっ!あ、はい。」
頭が傾く位に彼の左サイドを見ていた俺は、慌てて体を立て直した。
「いくつ?」
「に、22歳です。…あの、蒼さんは?」
22歳のところで、目を見開かれた。え?なんで…?
「…高1、6歳下。」
「??」
高校1年生?うそ!だって、身長とかめっちゃ高い…いや、そんな子もいる。なんか、態度も堂々としてるから分かんなかった。
「ため位だと思った、」
「えっ…、」
い、いや、さすがにタメはない!一応社会人だし。あーでも、Tシャツとジーンズだからかな。ヤンキー君かもしれないけど…俺がちゃんとしっかりしないと。
緊張して、心臓がドクンドクンドクンと激しく動き出してる。
「あ、あの、…ぶつかった時に、ケ、ケガとかしてない?」
「ああ。…和は、」
「だ、大丈夫。」
よ、よかった…。
彼はケガしてないって言ってるから大丈夫だ、きっと…。
ヤンキー君だとしても、本人が大丈夫だって言ってるから、金を巻き上げたりはしないだろう。
もやし炒めは遠ざかった。
ふう…、
息を吐いて、お茶を飲む。あ、そうだ大好きな葛饅頭を食べよう。そして落ち着くんだ。
皿を持ち上げて眺める。
ふふふ、…つるつるぷにぷに。
早速、小さめのフォークで弾力のある皮を切ろうとしたけど、無理にいくと中の餡が飛び出してしまいそう。
もう、いいや。
突き刺して口へ運ぶ。半分で噛み切って咀嚼する。
あ、甘ーい!
ひんやりとしていてほんのり甘い葛餅と、なめらかな餡が絶妙。しかも噛む度に少しの抵抗感、くにゅりとした感じ。
ううう…ウマーい!
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