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第4話
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もぐもぐと口いっぱいに頬張る。
美味しい!美味しい!
幸せ…。
ふと、視線を感じた。向い側から鋭い視線でジジーっと見られてる!こ、怖い…。
慌てて飲み込む。
葛饅頭に夢中で彼の事を、本当に忘れてた。うう、リラックスしすぎた…。
「な、なんでしょうか、」
「これ、食う?」
目の前で皿を持ち上げられる。はう!葛饅頭様!
た、食べたい。
一生懸命、頷く。ふらふらと皿に手を伸ばすと、スイーっと横へ移動した。オホホここよー捕まえてごらんなさぁいと導かれて、丸いちゃぶ台を立膝で回って追いかける。皿が元の位置へ置かれた。
俺は食い入る様に皿を、いや、葛饅頭様を見詰める。
ぐい、
両脇の下に手を入れられ、持ち上げられた。
「わっ!」
ビックーン!!
あわわわ、彼の左膝の上に着陸したよ!…しかも向き合ってる!
あ!蜘蛛の巣。
ス、スゴイ…。
「口開けろ、」
え?く、口?
至近距離で彼の顔を見る。ドッキーン!目が鋭い、や、やっぱり怖い。急いで、目を伏せる。…と、年上だからって、立ち向かえない事もある。うん。
「口開けろ、」
ふあ!ちょっとイラついてる?また言われた。ちらっと彼を見た。直ぐ目をそらす。
こ、怖!よく分かんない…早くしやがれって顔?でも、とても逆らえないオーラ。
おずおずと口を開ける、
ぷに。
焦点が合わないくらいの距離に葛饅頭。ぷるぷるの皮が唇に当たる。ひんやりと口の中へ侵入して途中で止まる。表面に歯を立てて、ぷつりと食い込ませ弾力のある饅頭を噛み切った。
広がる餡の甘み。
美味しい!美味しい!
夢中でもぐもぐと咀嚼する。さわさわ。頭の上で動く髪の毛と手のひら。
え?え?な、なんでか頭を撫でられてる。
ギョッとして、慌てて葛饅頭を飲み込む。
「あ、あ」
ぷに。
蒼さんと呼ぼうとしたら、また唇にひんやりと…。
条件反射で口を開ける。またゆっくりと入ってきて、今度は最後まで。フォークが歯に当たった。唇をしっかり閉じると、葛饅頭だけを残してフォークが遠ざかる。
目で追うとフォークが消え、直ぐ近くに彼がいる。細い目が更に細くなり、唇の端が上がる。
ドッキーン!はわわわ!怖い!
慌てて下を向いて、葛饅頭で心を鎮める。もぐもぐ…。
美味しい!美味しい!
なんか、さっきから緊張と緩和を行ったり来たりしてる。心臓が悲鳴をあげてるよ。
さわさわ、
まただ。なんでなんだろう…。
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