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第45話
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「なあ、ピンとかいる?」
「……どんなピン。」
「なんか、可愛いやつ。」
「やだ、いらない。」
蒼さんは善意で言ってくれてる…と思いたい。俺の髪は今や完全に縮毛矯正がとれて、自由を満喫している。本当に自由にクルクルしてる…もう嫌…。
「でも、前髪とか留めるのに便利だろ。」
「えー?じゃあ髪切りに行く。すっごく短くしてもらう。」
「それは止めてくれ、」
必死な感じで止められた。そんなにこの髪の何が良いの…。
「だって最近、瑆司さんとか常連のお客様も可愛いって言うんだよ。ピンとか付けたら、更にからかわれるから!」
「からかってないよ、本当に可愛いから褒めてんだって。」
「ええ?」
疑わしい目で見る。このモサモサは厄介なんだよ?
「本当だって。」
草部家の2階、俺が間借りしてる部屋。蒼さんと一緒に並んで夏みかんのゼリーを食べてる。これは、瑆司さんが作ってくれたもの。
「あ、今でっかい夏みかんが出てきた!」
スプーンに乗せた夏みかんを彼に見せる。
「へえ、果肉入りなんだ。」
そう言った彼が俺の手元を見る為に顔を寄せ、その後引き寄せられる様に頭へ擦り寄る。最近、よくある仕草。気が付けば髪の毛に頬を埋めてる。
「ねえ、何してるの?」
「ふわふわを堪能中。」
幸せそうに言われても…。なんか、ペット的な感じ?
「蒼さん…ペットを飼ったらどうかな。ハムスターとか。毛のある動物。」
「何で?」
「寂しいのかなって思って。」
「ん?別に寂しくないけど。」
「じゃあ、何で髪に顔を埋めるの。」
「気持ち良いから。」
何だかよく分からない。でも、もしかして…、
「ねえ、髪フェチなの?」
蒼さんが髪から離れて俺を見る、何かを考えてる……納得したのか一つ大きく頷いた。
「そういや、そうかも。この、ふわふわのクルクルに弱い。和限定だけど。」
「縮毛矯正かけたら、嫌いになる?」
「は?ならない。それはない。」
「そっか、良かった。」
これで、そろそろ縮毛矯正できる。
「やるつもりだろ?」
じと目で見られる。あ、蒼さんにピアノ弾いてもらうのと交換条件で、しばらくはそのままの約束なの忘れてた。
「…まさかぁ、やらないよ。」
「忘れるなよ、絶対だから。」
強く念押しされる。あうっ、視線が熱いよ…。
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