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第54話
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「いらっしゃいませ。あ、今日は。」
「こんにちは。」
蒼さんのクラスなのかもしれない、M学園の女の子だ。
「あ、そうだこれ見て!私もみたらし団子のピンを買ったんだよ。じわじわと、クラスで流行ってるんだ。」
学校の鞄にお団子が2本くっ付いてる。
「ふふ、鞄に付けても可愛いですね。」
「でしょ、でしょ。今日は、店員さんはどら焼きなんだね。」
「はい。昨日はみたらし団子だったんですよ。…あ、済みません話ばっかりしちゃって、何にしますか。」
「じゃあ、…どら焼き3個でお願いします。」
「はい。」
紙袋に詰めてると、お店の戸が開いた。暖簾で顔は見えないけど、反射的に声を掛ける。
「いらっしゃいませ。」
暖簾を潜って来たのは、
「和、」
「あれ、蒼さん。今日は早いね。」
「うん、図書館が休みだった。課題やるから部屋上がってても良いか?」
「うん。」
「え?え?なんで西君がいるの。」
目を開いて、蒼さんと俺を交互に見る不思議そうな顔。
「……誰だっけ、」
「……同じクラスの井口です。」
「へえ、」
あれ?何だか、蒼さん冷たい…。
「じゃあ、先に上がっとく。」
「あ、うん。」
蒼さんは、裏にある草部家の玄関に向かう為に店を出ようとした。
「西君っ、あの、あの、ここのお店の親戚かなんかとか?」
「違う、」
そう言って、さっさと暖簾を潜って出て行く。やっぱり冷たい…井口さんはしゅんとしてる、気まずい、気まずいよ。
「あの、どら焼き3個お待たせしました。」
「…店員さん、西君と仲が良いんですね。お友達ですか?」
「えーと、…はい。」
付き合ってますとは言えない…。勇気が無くてごめんなさい、蒼さん。
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