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第63話
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布団の中で、蒼さんと手を繋いで眠る。彼は、結局あの後服を着せてくれて、ゆっくり進もうって言ってくれた。電気を消した室内、近くにある彼の寝顔…起こさない様そっと触れる。怒らずに俺のペースに合わせてくれる優しい人。
「ごめんね、」
こんなんじゃ、呆れられてしまうよね。もう、自分でも呆れてるもん…。
「はぁ…。」
そういう行為に免疫無いのに、痴漢には触られてきたし…襲われたのが大きな原因になってる、あの恐怖心はなかなか去らない。
他の人とは違うって解ってる、彼は特別。本当に大好きなのに…。
「別れたいって思う?」
小さな声で聞いてみる。答えは返ってこない、眠る彼は目を閉じたまま。俺も目を閉じる、眠りは遠く夜明けも遠い。
明日は日曜日、彼が起きたらいつも通りに笑ってくれるかな…。
「お早う。」
ちゅ、
ぼんやりと離れる唇を見る。
「あれ?…夢?」
「ぷ、今起きたところだろ。」
「……寝てたの?」
いつの間に…、
「うん。さっき、目を開けたからキスした。寝惚けてんの可愛い。」
猫の様に笑う。ああ、大好き。
「朝食、何食いたい?」
「うーん…何でもいいよ。でも、まだここでこうしててもいい?」
シングルベッドの上、近距離にある彼の顔に顔を寄せて、そっと手を握る。
「うん。」
ぎゅっと握り返してくれてホッとした。
「ねえ、…昨日の事、怒ってない?呆れてない?……別れたいって…思ってない?」
ぐっと手の平に伝わる力。
「それ全部、和に俺が聞こうと思ってた事。」
「え、……どう言う意味?」
俺に言うの?蒼さんが?
真剣な表情…緊張が伝わってきて、俺の体も変な力が入る。
「和は、昨日の事で怒ってないかとか、無理強いさせられて呆れてるんじゃないかとか、それで…もう別れたいって思ってるかもしれないってさ。不安だらけだ。」
「…それ、」
俺と同じ気持ち。彼の不安と俺の不安は、ぴったりと重なり共有してる。
「俺も和と同じなんだ。」
「じゃあ…答えは同じ?俺はずっと一緒に居たいよ。」
「それも、全く同じ。」
そう言って、優しく目を細めた彼。俺は涙が出そうで、慌てて袖で目を抑えようとしたけど、繋いだ手の平は離れなかった。
「ぅ…、」
「泣くなよ、」
ボロっと出る涙。抑えたくてぎゅっと目蓋を閉じれば、唇がそっと触れて涙を吸い取った。
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