アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第82話
-
今日はクリスマス。蒼さんの家で、生クリームと苺餡の入ったどら焼きを食べてる。これは12月の限定商品で、売れ残ってたのを貰ってきた。やっぱりイブやクリスマスは、洋菓子屋さんが忙しいよね。
「餡子から苺の味がする…。」
ポツリと呟く彼。うん、苺の味。白餡に苺のジャムが混ざってる感じ。苺の香りもほんのりとする、不思議だけど凄く美味しい。
「蒼さん、苺餡は苦手じゃない?大丈夫?」
彼はどら焼きを半分に割って、断面を見ながらもぐもぐと口を動かしている。
「ああ、大丈夫。何か、和風ショートケーキって感じ。」
「そっか、そうかも。生クリームも入ってるもんね。」
「うん。」
今日も豪華だった夕食と、デザートにどら焼きを食べ終えたら満腹になった。本当だったら、そろそろ帰らないといけない時間。蒼さんが壁時計を見て時間を気にしてる。何だか、ちょっと寂しそうな横顏にきゅうっとなる。
「蒼さん…、」
明日から冬休みの彼。きっと、一人きりで心細いよね。
俺は明日、彼には内緒で休みを貰ってる。草部家のみんなよりも1日早い年末休暇。クリスマスプレゼントの交換は昨日したから、今日はお互い何も用意しない事に決めてた…けど、
「ねえ、蒼さん。実はサプライズプレゼントがあります。でも、無理な時は無理って言ってね。」
「ん?」
「今夜は一緒に過ごそう。泊まる用意もしてきたよ。」
「えっ、仕事は?」
「休み貰ったんだ。だから、明日から年末休暇なんだよ。」
「っ!じゃあさ、月曜日に親父達帰って来るって言ってたから、…日曜日まではここにずっと居てくれんの?」
「うん。大丈夫。」
ぱあっと彼の顔が輝く。年相応の素直な満面の笑み、やっぱり一人暮らしって寂しいよね。その気持ちすっごく良く分かる。
「やっった!明日と明後日、ずっと一緒だな。」
体が持ち上がる、
「わっ、」
彼の膝の上に着地して、抱き締められる。頬が髪の毛にすりすりしてる。
「そんなに喜んで貰えて良かった。一人暮らしって、心細くて寂しいよね…。」
しみじみと言ったら、
「いや、一人暮らしは快適だけど。和が居てくれんのが嬉しいんだよ。」
「えっ、快適なの?…もうー、せっかく年上っぽく俺に甘えていいよって言おうと思ってたのに。」
キランと彼の目が光った様に見えた、
「へえ、甘えさせてくれるんだ。」
あれ、何だか…。彼の目が細まる、唇の端が上がって心底楽しそうに笑みを模る。でも、いつもの感じと違う様な…。
「よし、早速風呂の用意してくる。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 92