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合わせてよ幼馴染みくん
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羽島に舞鶴の事を頼まれた次の日、
鷹也は早速例のファミレスの近くで舞鶴が出てくるのを待っていた。
暑いのが苦手な鷹也は制服のカッターシャツのボタンをいくつか外して
長い髪をアップにして、それでいてアクセサリー類はきちんとつけているから
制服でなければどこかのホストと見間違えそうな外見でわりと目立っていた。
「鷹也顔怖いんだけど」
「暑ぃんだよ、つーかお前が居るから若干面倒事殖えてんだけど」
「ええ、心配してついてきたのに酷いな鷹也は」
そう、鷹也は一人で来ているのではなく、
隣には、自分の問題だし心配だからと真咲が着いてきていた。
暑いからと半ば無理矢理にハーフアップにしている真咲は、
余計にその整った顔立ちが目立って周りから好色な視線を浴びていたから
先程から度々逆ナンにあってはどぎまぎする真咲の代わりに鷹也が追い返すのを繰り返していた。
「お前さ、大神と出掛けた時どうしてんの、
両方目立つだろお前ら」
「え、ああうん、希一凄いモテてさあ~、
やっぱかっこいいよな希一は」
「のろけを聞いてんじゃねえよ」
べしん、と真咲の頭を叩いた時、コツコツとヒールを踏み鳴らす音が聞こえて、
また逆ナンかとうんざりした顔で鷹也は振り返る。
「お待たせ、人の事待ってたくせにその顔は酷くないかな宮園くん」
「舞鶴……」
「あ、お疲れさま舞鶴くん」
「どうも。羽島くんがこの前来たけど、
どうせ君達も同じ用件なんでしょ?」
ヒールを踏み鳴らして近づいてきたのは逆ナンではなく、
キャラメル色のふわふわのウェービーロングに長い睫毛に縁取られたぱっちり二重、
ピンクのアイメイクにチーク、赤いリップと完璧なガーリーメイクで
本物の、それもかなり可愛い女子高生に扮した舞鶴だった。
その姿に思わず鷹也と真咲は本当に男なのだろうかと内心疑ってしまう。
が、呆けている暇もなく、ここじゃ目立つからと適当なカフェに入る事にした。
「で、そのさ舞鶴くん、あの、なんていうか、
俺が舞鶴くんの恋人っていうのは勘違いっていうかさ」
「何が、好きって言ったじゃん久瀬くん」
「そういう好きじゃねえよ真咲が言ったのは」
「うん、ごめん勘違いさせて……。
その、それに俺、ちゃんと他に恋人居るんだ」
じっと舞鶴の目を見て言った真咲に、
羽島の予想通り舞鶴の顔が険しくなる。
違うとわかっていてもまるで本当に女子に睨まれているようなそれに
真咲は思わず硬直してしまって言葉が出てこなくて、
仕方ないと鷹也が助け船を出そうと口を開こうとしたら、舞鶴がそれを遮るように言葉を重ねた。
「僕より頭いいの?その恋人」
「いやお前、恋人に頭の良さなんか関係ねーだろ」
「あるよ。
頭がいいって事はより価値があるって事だ、
相手が僕より価値がある人間じゃないと僕は認めない」
「…………俺だよ、真咲の恋人は」
じろりと睨んでくる舞鶴に、はあ、と深いため息をついた鷹也は
なんと自分が真咲の恋人だと嘘をついた。
慌てて鷹也を見る真咲に、鷹也はいいから合わせろと小声で伝えて舞鶴に向き直る。
「俺ならお前より期末の順位上だし文句ねーだろ」
「…………そうだね、確かに文句はないよ。
本当に付き合っているならね。
でも君達にそんな素振りなかった、だから証明するために僕の前でキスしてよ」
「は、はあ……!?」
「勿論人気のないところに移動はしてあげるよ、
だったら出来るよね?
僕をかわすための嘘じゃなくて本当に恋人なら」
じ、と見てくる舞鶴の目は本気だった。
どうして自分と恋人である事にそんなに執着するのか、
舞鶴は真咲を恋愛的に好きだという気持ちはないように思えるのに。
いや、そんな事より鷹也とキスをしたらこの場、もとい舞鶴は凌げたとしても
大神に気づかれたらどうなる事か。
そこまで考えて、真咲はいつの間にか周りの景色が変わっていた事に気づいた。
どうやら無意識のうちに腕を引かれて歩いていたようで、
人気のない寂れた路地に場所が移っていた。
と、いうことは
「ほら早く証明してよ、宮園くんと本当に付き合っているなら僕は諦めてあげる」
「え、えっと舞鶴くん、こういうのは人に見せるもんじゃないっていうか」
「そう言って僕を凌ぐつもり?」
「違うって、その……!!」
「いいだろ真咲、それで諦めてもらえるんならキスのひとつやふたつ」
ぽん、と真咲の頭を軽く叩いて鷹也が言う。
それに、何いってんだよ、と小声で真咲が慌てるが、
ぐい、と体を引き寄せられて反論を聞き入れてはもらえない。
ぎゅ、と抱き締められて、あ、これ本気だ、と真咲は悟って更に慌てる。
「大丈夫だって寸止めしてやるから、
あいつ経験無さそうだし気づかねえって」
「そ、そういう事じゃなくて、さあ……」
「んじゃ、よーく見てろよ舞鶴」
小声でのやり取りは、舞鶴に視線をやってにやりと笑った鷹也に黙殺された。
そして雰囲気を出すためか両手で優しく頬を包まれて、
優しく笑った鷹也に真咲が真っ赤で戸惑ううちに
鷹也の顔はどんどん近づいてきて。
ああだめだ、諦めよう、大神ごめん、と
そう祈るように思いながら、真咲は観念してぎゅっと目をつむった。
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