アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
拗れましたね後輩くん
-
「真咲さん、ハウス」
唇が触れそうになった瞬間に聞こえた
やけに聞き覚えのある台詞に
真咲はびくりと大袈裟に肩を震わせてしまった。
「き、希一……」
「おい大神、邪魔すんなよ」
真咲を抱き締めていた鷹也はそっと真咲から離れて、急に出てきた大神に呆れた視線を送る。
真咲はよかったという安堵と怒られるかという緊張と、どうしようという不安で
顔を赤くしつつもなんとも形容しがたい表情をしていた。
「……何、宮園くんと恋人なんじゃなかったの、
やっぱり僕をかわすための嘘だったんだ」
「あ、え、えっと……その、恋人は居るんだけど」
「俺ですよ、真咲さんの恋人は。
貴方が認めるか認めないかは自由ですが。
でも学年が違ったら頭の良さなんか測りようがないでしょう?」
「た、鷹也が嘘ついたのはごめん、
でも俺本当舞鶴くんとはそんなつもりじゃなくて、だから……」
大神の一言にさらに顔を険しくした舞鶴に
真咲が慌てて説得を試みる。
鷹也がちらりと後ろを見れば、
やってしまったと言わんばかりの顔をした神楽と羽島もこっそり陰から様子を窺っていた。
それにため息をついてまた真咲達に向き直ると
何やらさらに拗れた雰囲気になっている。
「わかった、夏休み中にある全国模試で僕より上の順位になりなよ、あれなら学年関係ない。
そうしたら僕は諦めて身を引いてあげる」
「ええ、ちょっと待ってよあれって舞鶴くんの順位一桁とかなんじゃないの……!?
それにあれ受験前の3年がほぼ上位占めるんでしょ?」
「そうだよ。
でも僕が付き合ってあげるって言ってるのに
僕より価値のない人間に転ぶなんて認めない」
「だから本当に勘違いさせた事は謝るし、
舞鶴くんそこまで俺の事好きじゃないでしょ?」
焦って真咲がまたも説得を試みるが、
聞こえないと言うようにぷい、とそっぽを向かれてしまって。
そもそもなんでこんな認める認めないの話になっているんだ、と真咲はだんだん苛ついてきた。
すると、それを見かねたように大神が、
落ち着けと言うように真咲の頭を撫でた。
「わかりました、いいですよそれくらい。
でもそれでちゃんと諦めてくださいね」
「ちょ、おい希一……!!」
「大丈夫ですよ心配しないでください」
「……わかった、その余裕がどこから来るのか知らないけどいいよ。
君が勝てば久瀬くんの事はきっぱり諦めてあげる」
待って、と、止めようとした真咲は間に合わず、
舞鶴は踵を返して歩いていってしまった。
どうするんだよ、と真咲が大神を見てもにっこり笑われるだけで、
鷹也が勝手にしろとばかりにため息をついて、
歩いてきた羽島達に事情を話した。
「どうするんだよ全く……」
「まあまあ、多分なんとかなるんじゃない?」
「羽島……なんとかって言っても希一1年だしさあ……」
「大丈夫だって。だってさ……
期末で満点とってたの、大神だけだし」
さらりと言われた羽島の言葉に、真咲は驚いて大神を振り返る。
すると、大神は相変わらずにっこりと笑うだけで。
満点だなんてそんな離れ業、と真咲はまだ驚いていたが、
もしかしたら大神なら、とその笑顔を見て思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 426