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可愛いですね先輩
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「肝試しってなんです?」
面倒くさそうな顔をして羽島に聞く大神に、
羽島はよく聞いてくれたというような顔で
1枚の紙を取り出した。
真咲と大神は顔を近づけてそれを見て、
すると書いてあったのはコテージ格安宿泊の文字と、
小さく書いてある曰く付きという言葉。
「いやなんかさ、出るらしいんだけどさ、
それでもいいなら俺らの小遣いでも泊まれるんだよここ」
「海の次は山に行きたいんだってさ、鶴人は」
「ふーん……俺は別にいいですけど……
って、真咲さん?」
羽島と鷹也の誘いに大神が頷くと、
小さくなって自分の後ろに隠れる真咲に気がついた。
大神の服の裾を引いて怯えている姿に
大神は可愛い、と思いながらよしよし、と真咲の頭を撫でる。
「はは、だから大神呼んだんだよ。
真咲すっごいホラーダメだからさ、
話したら絶対行かないって言うから大神に連れてきてほしいな~って」
「……怖いんですか?真咲さん」
「無理、無理俺行かない……!!
オバケ出るとこなんてわざわざ行かない…!!」
「聞けば皆ホラー平気って言うから、
一人くらいダメなの居ないとつまんないじゃん」
けたけたと笑う鷹也の言葉に、大神は呆れながら
話だけでかなり怯えている真咲を宥めるように頭を撫でてやる。
するとひしっと抱きついてきた真咲に、
思わずきゅんとした大神はにっこり笑って羽島と鷹也に向き直った。
「行きましょうか、肝試し」
「わー、その真咲見たら絶対そう言ってくれると思った~」
「やだ俺行かないからな……!!
いくら希一が頼んでも行かないからな……!!」
大神の後ろに隠れながら言う真咲に、
他三人は庇護欲と過虐心が同時にやってきて。
是非とも連れていってホラーに怯える真咲を甘やかしたい、と
肝試しの目的が完全にそうなっていてどこかズレていた。
そして、大神が真咲の体を自分に向き直らせて
真咲と目線を合わせてじっと見つめた。
「俺、真咲さんと一緒がいいです……
どうしてもダメですか?」
「……、……だ、だってオバケ怖いし」
「俺がちゃんと守りますから……ね?」
「………………うん」
少し甘えるような大神の視線に、
真咲がきゅんとしないわけもなく。
眉を下げて言われた恋人からの頼みごとに、
あっさりと陥落した。
羽島と鷹也が、こいつちょろいな、と思ったのは
その光景を見れば仕方ないことだった。
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