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安心しました幼馴染みくん
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「え、凌さんと鷹也付き合ったの?」
「まあ……。
そういう事には、なった」
「いつの間にそんな事に……」
話したいことがあると鷹也に言われて、
真咲と羽島は鷹也と一緒に桐生の別荘の周りを話がてら散歩していた。
コテージの辺りのように深い森というわけでもなく、
空気が澄んで景観もいい、まさに避暑地にぴったりの場所で
開けた場所にあった川の川縁の岩に座って3人は話していた。
「でもそっか、鷹也、凌さんの事好きだったんだ……」
「…………まあ」
「でも俺ちょっと安心した」
「安心……?」
まだ真咲の事の整理はついていないと、
本人を前にそう言う気にはなれなくて。
鷹也が曖昧に濁す返事をすると
羽島が柔らかく笑った。
「だって鷹也、真咲が真咲がって世話やいたり…
まあちょっかいかけるのも多かったけどさ、
自分よりまず真咲だったからちょうどいいんじゃない、凌さんみたいな年上」
「あ、そっか、鷹也人に甘えないもんな……。
凌さんなら面倒見いいし優しいし大人だしちゃんとしてそう…!!」
「足の踏み場ないくらい部屋散らかす奴のどこがちゃんとしてんだよ……。
俺がどんだけ片付けんの大変だったか……
飯は作れるくせに作れって……、……なんだよ」
「や、なんか鷹也、新妻みたいだなって……痛い!!」
素直な感想を言った真咲の頭を、
鷹也は思わずグーで殴ってしまった。
誰が新妻だ、とじろりと真咲を睨めば、
新婚邪魔して悪いななんて羽島までふざけてきて。
それに鷹也は疲れたように脱力して反論を諦めた。
この天然と確信犯には反論する方が損だと
幼馴染みとしてじゅうぶんに理解している。
「それよりお前はどうなんだよ鶴人」
「俺?」
「お前まだ神楽先輩とごちゃごちゃなったままなんだろ」
「え、いや、もう解決したんじゃないの」
人の事をからかってる場合かと羽島に視線を移せば
予想に反して羽島はきょとんとしていた。
その反応に、鷹也と真咲もきょとんとして顔を見合わせる。
だってコテージに来た時の神楽はどう見ても、
羽島も真咲も避けていたように見えたのだから。
「いやいやいやどう見ても拗れてただろが」
「えっそうなの?
俺としては、真咲より聖さん好きにはなれませんっつって終わりだとばっかり」
「それ解決じゃなくてお付き合い終了のお知らせなんじゃないの……?」
「えっマジで?
俺と聖さんってもう別れてたの?」
俺達が知るか、と鷹也と真咲は少し呆れた。
他人の様子の機微には嫌なくらい聡いくせに、
どうして自分の恋愛事にそうも鈍感になれるのか、
いやもしかして話をはぐらかすためにそう装っているのか、と
二人で眉を寄せて羽島を見る。
と、真咲が意識を逸らした瞬間に羽島が目線を游がせたものだから
ああこいつ後者だと鷹也は確信してさらに眉を寄せた。
「一回ちゃんと話しといた方がいいんじゃね?
真咲、悪いけどここに神楽先輩呼んできて」
「えっ一人でここ戻んの!?怖いんだけど!!」
「何がだよ明るいだろが朝の6時だぞ今!」
「だって熊とエンカウントして他の動物とかやってきて囲まれて一人動物園みたいになったらどうすんだよ」
「こっから5分の間にそんな劇的な出来事起こってたまるか!もういい全員で戻るから!!」
そうやって、真咲に渾身のツッコミをかました後にふと鷹也は思った。
ああ、こいつらと居たら自分のめんどくさい複雑な恋愛感情など二の次になりそうだと。
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