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X'mas night 1
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今日はクリスマスイブ。
街は恋人達とサンタで溢れていて、イルミネーションと賛美歌はキリストの生誕を祝う。
もちろん俺達も例外ではなく、恋人とと共にこの聖夜を過ごしている訳なのだが...。
「隼也さん...そんなにつまんない?」
俺は隣に立っている恋人を見上げる。
目の前には綺麗に飾られたイルミネーションとクリスマスツリーがあるというのに...。
この男はコートのポケットに手を突っ込んだまま俯き、12月の冷たい風と戦っている。
去年のクリスマス...隼也さんと付き合って初めてのクリスマス。
俺は隼也さんの部屋で過ごした。
クリスマス感の何も無い部屋だったけれど、隼也さんと2人きりで過ごせるクリスマスは何よりも幸せな一時だった。
そして隼也さんとの二度目のクリスマス。
今年も隼也さんの部屋に呼ばれた。
俺が期待しすぎていたのか、それとも欲張りになってしまったのか...。
隼也さんの部屋で過ごす時間はいつもと変わりなくて...クリスマスだからと何があるわけでもない時間に痺れを切らし"普通のクリスマスデートがしたい"と駄々をこねて隼也さんを連れ出したのだ。
そして今多くの恋人達に混ざってツリーを見上げている訳だが...。
「ねぇってば...」
「...寒い」
「冬なんだから当たり前だよ。...じゃあ俺が暖めてやるから...手出して?」
俺はそう言うと自分の手を相手に突き出した。
隼也さんは俺の手をまじまじと見て、そしてこう呟いた。
「こんな人が多い所で...俺達はホモで恋人ですって周りに言っている様なもんだぞ」
っ!
そんな言い方...することないじゃん...。
ホモで恋人で...何が悪いんだよ。
事実じゃん。
俺は男だけど隼也さんが好きで...。
好きな人とクリスマスに楽しく過ごしたいって思って何が悪いんだよ。
俺の頬を温かい何かが伝う。
涙?嫌だ...せっかくのクリスマスなのに...こんなの...。
俺は隼也さんから逃げ出した。
後ろで隼也さんの声が聞こえたけど、俺は立ち止まらなかった。
しばらく走って息も上がってきて...俺はゆっくりとペースを落とした。
涙はまだ止まらない。
クリスマスの街中を泣きながら歩いている男...。
せっかくのクリスマスに恋人に振られた可哀想な奴にしか見えないよ...。
ホモで恋人同士だと思われる方がよっぽどマシだ。
だけど...隼也さんは俺と恋人だと思われるの嫌だったのかな...。
普通はそうか。
勝手に舞い上がって勝手に怒って...俺って本当バカ...。
俺の足はそこで止まった。
街にはこんなに幸せそうなカップルが沢山いるのに、俺の周りだけはクリスマスのネオンも賛美歌も何も届かなかった。
きっと幸せな人達に俺の姿は見えないんだろうと思った。
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