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X'mas night 2
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全てから見放されたような孤独感に襲われたその時だった。
―澪―
背後から声がした様な気がした。
そんな訳ない。
隼也さんが俺を追って来てくれるなんて事...。
「何やってんだよ!ちょっと来いっ」
俺は突然手を引っ張られ歩かされる。
隼也さんの手が冷たい。
俺は振り返らない隼也さんの背中を必死で追いつつ何とか声を出す。
「こ、こんな所見られたら周りの人に変に思われるよ...?」
「お前はそれでもいいんだろ?なら黙って歩け」
そう言ってさらに手を引っ張られる。
着いたのは俺達の乗ってきた車の置いてある駐車場。
俺は助手席に座らされ、隼也さんは運転席へ乗り込み、そのまま黙って車を出した。
移動中隼也さんは何も言ってくれなかった。
"どこに行くの?"と聞いても黙ったまま運転しているだけだった。
怒らせた...。
もう俺はただ黙っているしかなかった。
どれくらい車を走らせただろうか。
周りにはもう輝くイルミネーションはなく、幸せそうな恋人達もいない。
そこにあるのはほんの少しの街灯だけ。
辺りはクリスマスとは程遠いほど暗くて静かだった。
「お前は...俺の前でだけ泣いてればいいんだよ...」
「え...?」
「泣き顔、あんな人が多い場所で不特定多数の人間に見せんな...」
何それ...それって妬いてくれたって事?
そう俺が聞こうと口を開いた時"着いたぞ"と隼也さんの言葉に遮られる。
俺は促されるまま車から降り、そして隼也さんの隣に並ぶ。
隼也さんがそうしている様に俺も空を見上げるとそこにはプラネタリウムの様な星空が広がっていた。
「どうせクリスマスに二人で出かけるならこういう静かな所の方がいい。こういう場所なら寒くても我慢してやる...」
隼也さんは空を見上げたままそう言った。
心なしか照れている様にも見える。
ちゃんと考えてくれてたんだ...。
俺とのクリスマス...。
華やかなネオンもクリスマスソングも何も無い静かな場所。
ここに居るのは俺と隼也さんだけ...。
隼也さんらしいけど、すごくロマンティックなクリスマス。
俺はそっと隼也さんに身体を寄せた。
その時一つの星が流れていった。
来年のクリスマスも隼也さんと過ごせます様に...。
俺はそう3回心の中で繰り返し呟いた。
END
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