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友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
3.
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次の日。
いつも通りのルーチンワークの中で、いつもと大きく違うことがあった。
「なんでここにいんの!?」
そう叫べば、しーっ、というポーズをしながらぱちんとウィンクを決められた。
何が起こったかというと、いつも出迎えてくれるはずの奏太が、奏太ではなく奏里だったのだ。
他の連中はそもそも奏太に双子がいることすら知らず、全くもって気付かないままベタベタとボディタッチをしている。
確かに、ウィッグをつけてうちの学校の制服を着た奏里は、奏太にしか見えなかった。
見た目だけは。
野郎にちやほやされ、体を撫で回されるのが気持ち悪いのだろう。
笑顔は完璧だが、殺気を立てるな。
素人なんだから可哀想だろう。
「…まったく」
来い、と腕を引いて、この時間は人気のない部室棟の方に連れて行った。
「…いやー、助かったよ!
ほんっと、気持ち悪いったら…
いつもあんなんなの?お兄ちゃん…」
「俺がいないときはそうだな、
本人も天然だから気付かず良いようにさせてるよ」
「ぅげっ…。
明日から春の家に寄ってから学校行くから、一緒に行こう…?
あんなんむり、耐えられん!」
「良いぜ!絶対守ってやる!」
「あたしのがあんたより強いっての…
まあその心意気や良し!!!
あ、お兄ちゃんがまた通うようになったらうちまで迎えに来てあげて?」
「良いけど…なんで今日は師匠が?」
「色々ワケあり。
理由はシークレットだけど、今お兄ちゃんはあたしの学校に行ってる」
へぇ、と声を漏らした。
理由はシークレットだと明言したからには、これ以上は聞いてはいけないだろう。
そこで丁度、奏里が話題を変えてくれた。
「ところで、よくあたしだって分かったね?
自分で言うのもアレだけど、あたしたちってそっくりじゃない?」
よく言うぜ、なーんて思いながら、質問に答えた。
「動きが全然ちげーんだよ、あとオーラ。
他には…姿勢とかか?
俺は普通に見分けられるぜ!」
「…春も成長したねー。
あたしは3歳のときからやってるから、キャリア的に春より強いけどさ。
小学生から始めたにしては、あんたはやりすぎてるくらいによくやってるよ。
偉い偉い」
その言葉に、俺は猛烈に反論したかった。
「偉くなんてない。俺はまだまだ弱いんだ。
もっと、強くならなきゃ」
しかしその反論に、奏里は大きくため息をつく。
「あのね、あたしが強いから勝てないってだけで、春はもう十分すごいんだよ?
わかってる?
大会は出させないけど、出させたら全国でも良いとこまでいくくらいには強いんだから」
「自分の実力を把握するくらいの力はあるさ。
ただ、最強ってわけでもないんだから、もっと練習するのは当然だ」
奏里は、困った顔で話を続ける。
「…春ってなんで、ウチの道場に入ったんだっけ?」
「師匠の親父さんに、声かけられたからかな?」
「あー…そういうことじゃなくて。
なんでそんな強さを求めるのか、ってこと」
そんなの、答えは一つしかない。
「守りたいものを、守れるようになるためだ」
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